RPA導入のリスクを低減しつつ、効果を高める「スモールスタート」
スモールスタートをオススメする理由は、
・RPA導入で失敗するリスクを低減すること
・RPA導入の効果を早期に享受すること
の大きく2点があります。
2023年4月時点で、RPAツールは30種類以上あることを確認しています。種類の多さがツール選定を難しくし、導入時期が延びることで解決すべき問題が放置されることにもつながっています。また、えいやで決めて投資対効果を出せずに撤退することもあります。
スモールスタートによって、対象を絞ることで人員・お金・時間という経営資源を最小限に抑えながら、
・RPAが問題解決に適切な手段(ツール)であるかどうか
・検討しているRPAツールが問題解決を実現できそうかどうか
を確認することが可能になります。
また、自動化する業務の複雑さにもよるものの、RPAは、他システムに比べて導入期間が短い傾向にあること、かつ、導入範囲を絞り込むことで導入効果を早期に享受し、投資対効果を高めることができます。さらに、成果が出ることによって、RPA導入へ人の関心が向き、人の協力を得やすくなります。結果として、小さく始めたことが大きく拡がります。
スモールスタートとは?
「スモールスタート」という言葉は、「新規事業の立ち上げ」や「システム導入」で使われることがありますが、システム導入に焦点をあて説明します。
システム導入におけるスモールスタートとは、導入を検討しているシステム(ツール)が、問題解決に最適なツールであるかどうかを最小限の労力で、かつ、最短期間で検証を行い、少しずつ適応範囲を拡げていくことを意味します。
そのため、システム化(=業務効率化)を実現する範囲を限定して進めることになります。よって、システム化を検討する対象業務が複数ある場合に、全てを同時に進めるのではなく、一部業務/一部機能に絞って着手していく方法になります。
導入効果が見込め、開発期間が短めな業務/機能から着手することがスモールスタートの王道となります。
検証が進み、対象業務を拡げていき
・大規模対応が可能であるか
・安定性があるか
を確認する必要はあります。
スモールスタートのメリットとは?
スモールスタートの主なメリットとしては以下の7つがあります。
・導入に必要な人員/お金/時間という経営資源を抑えることができる
・万が一、撤退となる場合のコストを最小限に抑えることができる
・少ない関係者で早期にスタートを切ることができる
・早期に検証結果(導入効果)を得ることができる
・まずは進めてみることによって、利用イメージを具体化させることができる
・小さな成功体験から周りの理解/協力を得やすくなる(他部署への展開がしやすくなる)
・利用範囲の拡張に合わせて、体制を強化することができる
また、「手段」と「目的」がズレていくことの防止にもつながります。
RPA導入を検討している段階では、「業務効率化を実現したい」「人手不足を解消したい」「やるべき業務に専念させたい」という「目的」に対してRPA導入という「手段」で実現しようと動いていたものの、RPA開発を行うこと/RPA開発者を育てることが目的となるケースを多く見てきました。いずれも目的達成のための手段に変わりありません。目的がズレることで本来実現したかった業務効率化が遠のいていくのは言うまでもありません。スモールスタートの中で、内製化するのか(内製化できるのか、を含め)/ベンダーを活用するのか、内製化するのならばどのような教育を行うのか/どのように内製化チームを組成するのかを検討し、実行することによって、目的がすり替わってしまうリスクを低減することが可能となります。
スモールスタートの始め方
スモールスタートの重要性を理解いただき、スモールスタートで始めていただくにも「何から手を付けるか」が決まっていなければ取組みようもありません。
まず、対象業務の抽出の仕方には大きく2つのやり方があります。
・自動化したい業務をリストアップする
・業務フローを描き起こし、対象業務を選定する
スモールスタートで効果検証を行うならば、リストアップした中から抽出する方法でも問題ありません。もし、リストアップできないようなら、業務フローを描き起こすことをオススメします。また、自動化したい業務をリストアップする際には、自部門だけにするのか、他部門も含めるのかについては気にする必要はありません。スモールスタートは対象業務を絞るということがポイントとなるためです。
複数ある場合の決め方は、「その業務にどれだけの時間を要しているか」と「どれだけの人数を要しているか」の2要素から絞り込むことが1案になります。
具体的には、自動化したい業務を以下の4象限に当てはめ、
② 業務を行うのに時間がかかる × 業務にかかわる人数が少ない | ④ 業務を行うのに時間がかかる × 業務にかかわる人数が多い |
① 業務を行うのに時間がかからない × 業務にかかわる人数が少ない | ③ 業務を行うのに時間がかからない × 業務にかかわる人数が多い |
①「業務を行うのに時間がかからない」×「業務にかかわる人数が少ない」
②「業務を行うのに時間がかかる」×「業務にかかわる人数が少ない」
③「業務を行うのに時間がかからない」×「業務にかかわる人数が多い」
④「業務を行うのに時間がかかる」×「業務にかかわる人数が多い」
の順で手を付けるのがオススメです。
RPA導入による効果の大きさは、逆で、④⇒③⇒②⇒①の順番になると考えますが、最小限の労力と最短期間で結果を出すことを目的とするスモールスタートでは①⇒②⇒③⇒④になります。
スモールスタートは、導入初期のインパクト(効果)は小さくとも、確実に、そして、着実に成果を出し投資対効果を高めることができるようになります。
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