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地方創生の成功取り組み事例6選┃成功させるポイントも紹介
地方創生とは地域の活性化を目指す取り組みです。地方創生が重要な課題であると認識しつつも、どうやって進めたら良いかわからず悩むケースが多いのではないでしょうか。
地域によって持っている資源や置かれている状況が異なるため、様々な事例を知ったうえで活用できるものを選択することが重要です。
本記事では地方創生の取り組み成功事例を紹介するとともに、地方創生が重視されている理由と成功させるポイントを紹介します。
地方創生の取り組み成功事例
以下では、ユニークな地域活性化に取り組んだ事例など6つの成功事例を紹介します。
- ユニークな地域活性化事例 ┃廃校が道の駅「保田小学校」に
- 町おこしの成功例┃田んぼアートに地元大学生が参加
- 人口を増やす取り組み①┃サテライトオフィスの展開でIT企業を誘致
- 人口を増やす取り組み②┃地方共創BPO事業で雇用を創出
- ICTによる成功事例①┃総ひのき注文住宅を村から街へネット直販
- ICTによる成功事例②┃地域住民の医療履歴一元管理で効率的な受診
事例の特徴や成果について詳しく解説します。
ユニークな地域活性化事例 ┃廃校が道の駅「保田小学校」に
千葉県鋸南町(きょなんまち)の保田(ほた)小学校をリノベーションし、校舎の雰囲気が醸し出す懐かしさが多くの方に受け入れられました。
プロジェクトチームが参入し開業後4ヶ月で、50人の雇用と12万人の交流客を産み出した取り組みです。
廃校の利活用が話題となり、初年度に目標としていた年商2億7,000万円をオープン半年後に達成しました。
町おこしの成功例┃田んぼアートに地元大学生が参加
青森県田舎館村の田んぼアートのキャンパスは、2014年に天皇皇后両陛下もご観覧されました。
村が村民と大学生と協働して町おこしに挑戦し、海も山もない小さな村に観光資源を創出した事例です。
現在では、雪の時期でもスノーアーティストのサイモン・ベック氏から技術継承した有志が制作した「冬の田んぼアート」が開催されるようになりました。
人口を増やす取り組み①┃サテライトオフィスの展開でIT企業を誘致
徳島県が総務省からの支援も活用して、全国屈指のブロードバンド環境を過疎の町・神山町に整備することでIT企業など12社の誘致に成功しました。
都会と比べて回線が混んでいないため、インターネットの回線スピードも速いです。
空き家だった古民家がIT企業に生まれ変わり移住者を呼び込むことで、2019年度には転入者が転出者を上回る「社会増」の現象が8年振りに起こりました。
人口を増やす取り組み②┃地方共創BPO事業で雇用を創出
秋田県大仙市は人口増加の取り組みとして、ワクチン接種に関するコールセンター業務などのBPOセンターを誘致しました。
BPOは自社の業務を外部委託する形態の1つで、BPOセンターとは委託を受けた専門業者の拠点のことです。
BPOセンターの設立で地元住民を中心に50人程度の雇用創出を目指しています。
大仙市では、市内でのBPOオフィスなどに対する支援を通じて継続した雇用の拡大を目指しています。
ICTによる成功事例①┃総ひのき注文住宅を村から街へネット直販
岐阜県東白川村が「総ひのき注文住宅」システムを構築し、村民所得向上につなげた事例です。
インターネットを介した独自の注文システムを構築したことで、村の基幹産業の林業・建築業の衰退を乗り越えました。
注文システムで、高品質かつ安価な国産材を利用した住宅建築を村外から受注可能な環境を実現。
デザイン・機能性に優れた住宅を低コストで建築することで収入を増やし、村民所得の向上に貢献しています。
2009年から運営を開始した住宅受注システムにより、2015年度の村民所得は2009年度に比べ約16%アップしました。
2015年3月には、地域情報化大賞(総務大臣賞)を受賞しています。
ICTによる成功事例②┃地域住民の医療履歴一元管理で効率的な受診
京都府京都市のNPO法人が医療履歴をクラウド上で一元管理し、効率的な受診を可能にした事例です。
医療履歴を一元管理することで、地域住民が無料で自分の投薬履歴を安心して確認できるシステムが確立されました。
医療機関の間では、相互に診療情報の共有も可能です。
高齢の利用者でも使えるようにスマートフォンの他、ケーブルTVからの確認や管理ができるように工夫されています。
地方創生が重視されている理由
地方創生が重視されているのは、次の2点が進んでいるためです。
- 地方から都市部への人口集中
- リモートワークの普及で場所に限定されず地方での働きやすさが実現
リモートワークが普及した今、地方活性化のためのチャンスが広がっています。
地方から都市部への人口集中
地方創生が重視されているのは、地方と都市部の格差是正を図るためです。
現在の日本では少子高齢化により人口の減少と、地方から都市部への人口集中という2つの問題を抱えています。
日本の人口の約3割が居住しているのは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の東京圏です。
民間組織「日本創成会議」によると、2040年には半数の自治体が人口減少によって存続が困難になると予測されています。
地方で過疎化が進む中で、地方創生により魅力ある取り組みを行う必要があります。
リモートワークの普及で場所に限定されず地方での働きやすさが実現
リモートワークが普及したことも地方創生が重視されている理由のひとつです。
働く場所を問わない多様な働き方が広まり、地方での働きやすさが見直されています。
内閣府の「地域の経済2020-2021」によると、東京圏で暮らす20代の51.7%の方は地方移住への関心が高まったという調査結果があります。
リモートワークをしやすい、情報通信業などの地方への企業移転の誘致も検討課題といえるでしょう。
地方創生を成功させるポイント
地方創生を成功させるポイントは3つです。
- 地域資源を活用し地域活性化へつなげる
- 県外の企業や自治体と連携する
- IT技術を活用する
以下でポイントを紹介します。
地域資源を活用し地域活性化へつなげる
地方経済は厳しい状況にあるものの、地域に現存する地域資源を活用すれば地域活性化にもつながります。
地域資源には、伝統的に承継されたものや自然・歴史遺産などの文化財や温泉などが挙げられます。
中小企業白書の中で、地域活性化の切り札となる地域資源が特にないと回答している都道府県はなく、地域資源を活用しない手は考えられません。
地域の強みとなる観光資源などの地域資源を深掘りし、地域活性化につなげましょう。
県外の企業や自治体と連携する
県外の企業や自治体と連携する理由は以下の2つです。
- 企業としては地方に拠点ができる
- 自治体には新たな雇用の創出が見込まれる
地方に拠点ができれば受け入れ側にとっても県外の企業を誘致することで、雇用先が創出され人口減少に歯止めをかけることができます。
企業側にも電気料金や税務面で優遇措置が与えらえることもあり、メリットは大きいです。
また、企業の仕事の一部を地方自治体が請け負う「地方創生BPO」の活用も、近年注目を集めています。
地方創生BPOについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
IT技術を活用する
地方創生を成功させるには、IT技術の活用は重要です。
IT技術を活用することで、地方であっても抜本的な変革や新たな価値を創造することができます。
IT技術の導入の際には、補助金の活用も検討してみましょう。
IT技術の主な活用事例として以下の3つがあります。
- クラウドの活用で医療履歴の一元管理
- IoTセンサーを活用した遠隔監視による鳥獣被害対策
- AIチャットボットによるインバウンド観光客の対応
IT技術の活用は、地方創生を成功させるための重要なツールといえるでしょう。
まとめ
本記事では、以下のような地方創生の取り組み事例を紹介しました。
- 地域資源をうまく活用した事例
- 人口を増やすために県外の企業と連携した事例
- ICTを活用した事例
取り組みの成功事例を知ることが地方創生の成功への近道ですが、自社の目的に合うものを見つけなければならず、独自性を発揮するためのアレンジも必要です。
今回の地方創生の取り組み成功事例を参考にして、地方創生に取り組まれてはいかがでしょうか。