製造業向けERPには、生産計画、工程管理、在庫管理といった機能があります。

ERPでの一元管理により、生産計画にもとづく製造の適正化、余剰在庫の削減といったことが実現可能です。

本記事では、製造業向けERPの機能やメリット、MESとの連携について解説します。

製造業向けのERPとは｜生産管理を一元管理できるシステム

ERPはEnterprise Resource Planningの略で、企業の経営資源（ヒト、モノ、カネ、情報）を統合的に管理し、業務効率を向上させるためのシステムです。

ERPの導入により、企業活動の各業務プロセスを統合し、リアルタイムで情報を共有・活用できます。

製造業でERPを使用する場合、生産計画、工程管理、購買管理といった製造に関する機能を持ち、経営資源を最適化できる点が特徴です。

なお、ERPについては以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事：ERPとは

製造業向けERPはオンプレミス型とクラウド型がある

製造業で使用されるERPは構築される場所によって以下の2種類に分かれます。

• オンプレミス型
• クラウド型

それぞれの種類を解説します。

オンプレミス型｜初期費用が高く、自社管理が可能な企業向けのERP

オンプレミス型は、自社のサーバーやデータセンターにERPを導入して運用する方法です。

自社だけでなく、外部のデータセンターを活用することも可能ですが、初期費用や運用コストが高いため、大規模な企業に適しています。

製造業でオンプレミス型を使用するのに向いているのは、インフラ基盤が整っている、あるいは生産方式の違いによってERPを自社でカスタマイズするケースです。

クラウド型｜費用を抑えられ、中小企業でも導入しやすいERP

クラウド型ERPは自社でデータセンターを持つ必要がなく、運用スタッフも少なく済むため、初期コストの削減が可能。

オンプレミス型に比べ、導入・ 運用コストを抑えられる点で中小製造業向きです。

製造業においては、在庫管理、生産計画、購買管理などの機能を備えたクラウド型ERPを活用することで、業務の効率化を図れます。

なお、クラウド型ERPについては以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事：クラウドERPとは？

製造業向けERPパッケージに含まれる機能

製造業向けERPの主な機能は以下のとおりです。

• 生産計画
• 工程管理
• 在庫管理
• 購買管理
• 部品管理
• 製造原価管理

ERPの各機能については、以下のSAPモジュールに関する記事でも詳しく解説しています。

関連記事：SAPモジュールとは

生産計画

生産計画機能はPP（Production Planning and Control）と呼ばれ、受注管理や需要予測をもとに適切な生産計画を立てる機能です。

生産計画機能では以下を実現できます。

• 生産計画にもとづく部品の確保と納期短縮
• 受注状況と生産計画の可視化
• 受注状況に応じた生産の効率化

生産計画システム活用の事例として、生産計画にもとづき共通部品の適切な製造と確保が可能となり、効率的な生産につながったといったものがあります。

工程管理

工程管理は、生産計画にもとづき投入された製造が進捗どおりに行われているかを管理します。

MES（Manufacturing Execution System/製造実行システム）やMOM（Manufacturing Operations Management/製造オペレーション管理システム）に該当する機能です。

工程管理機能では以下を実現できます。

• 作業進捗状況の可視化
• 作業に要する工程の把握

工程管理によって進捗状況と工程実績をリアルタイムに把握し、データの信頼性と妥当性を担保できたといった事例があります。

在庫管理

在庫管理は生産した製品の在庫数や出荷状況を管理する機能です。

購買管理やWMS（Warehouse Management System/倉庫管理システム）に在庫管理機能が含まれていることもあります。

余剰在庫のほか、在庫不足、在庫の期限、減損といった製品の状況を管理できる点が特徴です。

在庫管理機能では以下を実現できます。

• 製品の在庫状況の管理
• 余剰在庫の有無、出荷状況の把握
• 適切な生産を行うための情報取得

在庫管理では既存の方法で管理していた記録と実数値の差異を解消し、経営した数値を向上させた事例があります。

購買管理

購買管理はMM（Material Management）と呼ばれ、生産に必要な材料や機材、部品の購入を一元的に管理する機能です。

購買管理機能では以下を実現できます。

• 数量や購入価格の管理
• サプライヤー管理
• 購入時の請求書管理の一元化
• 材料や機材、部品の購入価格適正化

購買管理の事例として原材料の集中購買、製造現場への自動補給による調達コストの削減といったものがあります。

部品管理

部品管理はBOM（Bill of Material）と呼ばれ、製品に必要な部品や材料を部品マスターとして管理する機能です。

部品管理のほかに製品構成を管理できるものもあります。

部品管理機能では以下を実現できます。

• 部品や材料の個数、量の把握
• 生産計画と製品構成をもとにした調達部品の適正化
• 原価計算のもととなる原価表の管理

部品管理を使用して、これまで1日がかりで作成していた部品構成別の製造原価表作成を、1分以内に短縮するといったデータ管理も可能です。

製造原価管理

製造原価管理はCO（Controlling）と呼ばれる、製造にかかる原価を一元的に管理する機能です。

製造原価管理機能では以下を実現できます。

• 製品原価の正確な把握
• 適切な製品価格の設定
• 原価シミュレーションによる生産原価予測

製造原価管理によって、正確な製造原価をリアルタイムで取得できるといった成果を上げた事例があります。

製造業でERPを導入するメリット

製造業でERPを導入する主なメリットは以下の3つです。

• 製造工程を最適化できる
• 納期の遵守率が上がる
• 在庫管理の精度が向上する

製造工程を最適化できる

製造業でERPを導入することで、受注から製造にいたるまで生産計画と工程管理を一元管理できます。

生産計画にもとづき、原料の成形（仕掛品の製造）、仕掛品の加工による製品化といった工程を一元管理し、稼働率向上につなげたといった事例があります。

一元管理により、人員や原材料といったリソースにもとづき製造工程を適正化できる点が大きなメリットです。

納期の遵守率が上がる

ERPを導入することで生産開始から完了までの製造リードタイムを正確に把握でき、納期の遵守率を上げられます。

いつ、誰が、どの工程を担当しているか可視化することにより、製造状況、納期の遅延がないか把握できるため、問題発生時にスピーディーな対応が可能です。

このように、製造リードタイムを把握することで納期を遵守できる点もメリットのひとつです。

在庫管理の精度が向上する

製造業のERPのうち在庫管理機能で在庫状況を把握でき、製品在庫を適正化できます。

製品のほか、原材料や製造途中の半製品も可視化でき、在庫回転日数を9日から7日に短縮したといった事例があります。

在庫管理の精度向上により、過剰な製造の抑止や余剰在庫を抱えるリスクの低減につながる点も、製造業がERPを導入するメリットのひとつです。

製造業におけるERPとMESの連携

MESは製造実行時の管理を行うシステムです。

製造業では、工程管理などにMESを使用しています。

ERPとMESとの連携によりさらなる効率化を実現できるメリットがあり、システムに対する投資の負荷を抑え、コストの削減が可能です。

一方で、データ連携できないケースもあり、連携不備によるトラブル発生の恐れがあるといった課題も考慮しなければなりません。

ERPとMESは、リスクや費用対効果を検討したうえで連携することが重要です。

製造業では生産管理を効率化できるERPの導入がおすすめ

製造業で使用されるERPは生産管理、工程管理、購買管理、部品管理、製造原価管理といった製造に必須の項目を一元管理できます。

製造業でERPを導入すると製造工程の最適化のほか、納期遵守率の向上が図れます。

製造業向けERPに興味を持った際には、ぜひノムラシステムにご相談ください。

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