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SAP S/4HANA Cloudとは?メリットや導入事例、注意点を詳しく解説
SAP S/4HANA CloudはSAP社の提供する次世代ERPとして、クラウド化やDXを進める多くの企業に利用されています。
この記事では、SAP S/4HANA Cloudの導入をご検討の方々に対して、SAP S/4HANA Cloudのメリットや導入の成功事例、導入する際の注意点を解説します。
SAP S/4HANA Cloud とは|すぐに使えるクラウドERP
SAP S/4HANA Cloudには次の2つのタイプがあります。
SAP S/4 HANA Public Edition | カスタマイズの自由度は低いが、標準機能で十分な業務遂行が可能。 |
SAP S/4 HANA Private Edition | カスタマイズの自由度が高く、オンプレミス型と同等のカスタマイズ性を有する。 |
SAP S/4 HANA Public Edition
SAP S/4 HANA Cloudのパブリッククラウドタイプの製品です。
2015年に登場したSAP S/4 HANAのSaaS型クラウドサービスとして、2016年から提供が開始されています。
Public Editionの特徴は、自社業務を標準機能にあわせる「Fit to Standard」というコンセプトです。
Private Editionやオンプレミスタイプと比較すると機能の拡張性は限定的ですが、カスタマイズの必要性は最小限に抑えた運用を実現できます。
SAP S/4 HANA Private Edition
SAP S/4 HANA Cloudプライベートクラウドタイプのサービスです。
オンプレミス型と同等の機能を有しつつ、クラウドの特徴である拡張性の高さも持ち合わせています。
個別のカスタマイズや高度なセキュリティが要求される環境に適していて、企業固有のニーズにあわせた経営情報基盤を構築できます。
柔軟な利用ができるクラウド型でありながら、オンプレミス型と同等の制御やカスタマイズ性を担保できる点が特徴的です。
SAP S/4HANA Cloud のメリット|低コストで継続的な事業改善が可能
SAP S/4HANA Cloudのメリットは次の4つです。
- 導入コストが低い
- 運用コストが低い
- イノベーションサイクルが速い
- 拡張性が高い
導入コストが低い
クラウド型であるため、導入初期にかかる高額なハードウェアやインフラへの初期投資が不要です。
導入にかかる期間も短く、業務に必要な機能を工数をかけずに導入できます。
自社で人員を集めて大掛かりな導入プロジェクトを行う必要もなく、むしろベンダーからの導入サポートを受けながらスムーズに利用を開始できます。
運用コストが低い
導入コストにくわえ、継続的に発生する運用コストも低減できます。
運用・保守はベンダーに一任できるため、これらの業務に人的リソースを割く必要もなく、ハードウェアの管理費用も発生しません。
サービス利用にかかるのは月々の安価なサブスクリプション金額のみとなり、コストの予測も容易です。
また、運用コストが低く抑えられることにより、継続的な利用におけるコスト面の不安を解消できます。
イノベーションサイクルが速い
従来のERPに比べ速い周期での定期的な自動アップデートを受けられるため、常に最新の機能やセキュリティ強化を受けた状態で運用できます。
Public Editionでは年2回のアップグレードと毎月のアップデートが組み込まれており、数年に1回アップグレードが行われる従来型のERPとは大きく異なります。
こうした最新化にかかる作業もベンダーが担当するので、工数もほとんどかかりません。
拡張性が高い
SAP S/4HANA Clouはクラウドサービスであるため、APIによる機能ベースの連携により機能の拡張が可能です。
ERPに限らずさまざまなサービスの利用においてもクラウド型が主流になってきていることもあり、将来的に連携できる拡張機能や対象サービスの追加も期待できます。
SAP S/4HANA Cloud の導入成功事例
SAP S/4HANA Cloud 導入の成功事例として、次の3つを紹介します。
- 日立ハイテク株式会社の事例
- Topcon社の成功事例
- TEWAY社の成功事例
日立ハイテク株式会社の事例
半導体製造装置やヘルスケア事業を展開する日立ハイテク株式会社では、世界水準の業務オペレーションの実現に向けてSAP S/4HANA Cloudの2層クラウドモデルでの導入を実現しています。
日本国内の本社・グループ会社にはSAP S/4 HANA Public Edition、海外拠点にはSAP S/4 HANA Private Editionを導入した結果、重要な開発をコアシステムから分離し、標準コードを変更せずに拡張機能の開発が可能になりました。
こうした環境の整備により市場の変化に柔軟に対応した事業展開に成功しています。
Topcon社の成功事例
ヘルスケア事業などを展開するTopcon社は、SAP S/4HANA Cloudの導入により別々に使用していた7つのシステムを一元化しました。
システムを統合したことにより全社のデータをリアルタイムで確認できるようになり、経営資源の効率的な活用を実現に成功しています。
一元管理によって地域差のない顧客サービス品質の標準化にも成功し、顧客へのブランド価値の創出もしています。
TEWAY社の成功事例
調味料などの食品を製造するTEWAY社は、既存のシステムにおけるビジネス部門と財務の統合に課題を抱えていました。
しかし、SAP S/4HANA Cloudの導入によりサプライチェーンの管理を強化し、製造・販売・財務を管理する財務統合ソリューションの構築に成功しています。
受注管理システムを活用した細かな原価分析により、原価と経費の自動追跡も実現しています。
SAP S/4HANA Cloudを導入する際の注意点
SAP S/4HANA CloudではABAPクラウド開発モデルに準拠した開発が必要になるため、オンプレミス環境から移行する際はABAPプログラムを再度開発しなくてはなりません。
導入に際して修正が必要なプログラムを精査し、影響範囲を調査する必要があるでしょう。
ただし機能ごとの影響調査や改修箇所の洗い出しには多くの人的リソースが必要になることもあります。
調査範囲によってコストがかさむことにもなるため、自社のみでの対応ではなく外部のコンサルティングを受けるのも有効な手段です。
SAP S/4HANA Cloudで業務効率と柔軟性を向上させる
SAP S/4HANA Cloudを導入することで、以下の4つのメリットが得られます。
- 導入コストが低い
- 運用コストが低い
- イノベーションサイクルが速い
- 拡張性が高い
効果的なERPの導入を実現するには、計画の段階で導入〜運用までの全体図を描き、戦略的に実行できる体制が不可欠です。
SAP S/4HANA Cloudの導入をご検討の場合は、弊社のコンサルティングサービスの利用をご検討ください。
本質的な課題の掘り下げから、具体的なソリューションの提供まで徹底的にサポートいたします。
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