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S/4HANA Cloud Public Edition導入時の重要なポイント|DXの現場

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S/4HANA Cloud Public Edition導入時の重要なポイント|DXの現場
  • 對馬 寛之
  • PMOコンサルティング事業部 SAP認定コンサルタント(FI /CO)

ノムラシステムコーポレーションの現役コンサルタントが、DXを成功させるために重要なポイントを紹介します。

今回のテーマは「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」です。SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、SAP社が構築するクラウド型のERPソリューションで、幅広い企業で導入が進んでいます。

本記事では、SAP S/4HANA Cloud Public Editionの概要や活用事例、そしてこれまで多くの導入を実施してきた弊社が特に大切にしているポイントを紹介します。

中堅企業に適したSAP S/4HANA Cloud Public Editionとは?

SAP S/4HANA Cloud Public Editionとは、SAP社が構築するクラウド型のERPソリューションです。

従来、SAP社はオンプレミス型のERP製品を提供していましたが、現在はクラウド型のサービスとしてSAP S/4HANA Cloudを主に展開しています。SAP S/4HANA Cloud には2つのエディションがあり、そのうちの1つがSAP S/4HANA Cloud Public Editionです。

業界別のベストプラクティスが提供され、さまざまな業種でご利用いただける点は従来製品から変わらず、SAP社が構築したクラウド環境を複数のユーザー企業が共同で利用することにより低コストな基幹業務システムの運用が実現できます。

そのため、SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、中堅・中小企業のお客様にも適したサービスとなっております。

ポイントの1つ:Fit to Standard

SAP S/4HANA Cloud Public Editionの導入では、不足している機能を「新規開発する」のではなく、標準機能を「どのようにして活用するのか」を考えるFit to Standardのアプローチが重要となります。自社の業務プロセスをどのようにしてシステムに適合させるか追求し、業務の改善や変革が継続的に求められます。

世の中の変化に柔軟に対応し、企業として進化をし続けるための経営基盤がSAP S/4HANA Cloud Public Editionであり、その導入アプローチがFit to Standardになります。

SAP S/4HANA Cloud Public Editionを導入する際には、ご契約前にアセスメントを実施いたします。アセスメントでは、経営的なシステム要件がマッチしているか(例:データドリブン経営を実現したい等)、Fit to Standardの導入方針が経営層を含めて合意できているか確認します。

また、新システムの業務プロセス(TOBE)をデモを交えて説明し、システムスコープの擦り合わせをしていきます。アセスメント結果をもとに、SAP S/4HANA Cloud Public Editionの導入が適切か、あるいは他サービスが適しているのかを判断します。

アセスメントプロセスでご紹介するTOBE業務プロセスは、お客様の現行業務とSAP社が提供する「SAP Best Practice」をベースにしたデモシナリオになります。SAP Best Practiceは、全世界のSAPユーザーから得た業務知識を基に作成した標準テンプレートであり、理想の業務プロセス(TOBE)として取り入れることで、短期間かつ低コストでのシステム導入が可能です。

Fit to Standardによる導入の恩恵と壁

Fit to Standardの最大のメリットは、システムの標準機能を活用して業務効率を向上させる点です。システムのメンテナンスやアップデートが容易になり、常に最新の機能を利用できます。

しかし、Fit to StandardであるSAP S/4HANA Cloud Public Editionを導入する際には、従来のプロセスをシステムの標準機能に合わせて変更する必要があります。そのため、従業員が慣れ親しんでいた業務手順を調整する必要が生じるため「これまでのシステムが使いやすかった」などといった抵抗感が生まれることも少なくありません。

それでも、SAP S/4HANA Cloud Public Editionを導入すれば、企業内のあらゆる業務データを一つのプラットフォーム上で総合的に管理できます。この一元管理により、データの集計や処理といった中間業務が削減され、データ分析やレポーティングが効率的に行えるようになります。

最終的には全社的な業務効率化で迅速な意思決定が可能となり、長期的な成功へとつながります。

関連記事:日本企業の仕事へのプライドが招くFit to Standardの壁|DXの現場

NSCのシステム導入プロジェクトの成功率は100%

弊社では、SAP導入コンサルティングを主力業務として、これまで多くのプロジェクトで導入を成功させてきました。

導入成功のポイントは、プロジェクト実行力とお客様との丁寧なコミュニケーションを通じて、納得感を持ちながら進めている点にあると考えています。

関連記事:【クラウド/SAP】「プロジェクト成功率100%」記録を更新! 「日本最大の放送局グループ企業」プロジェクトが本番運用を開始!

積み重ねてきたプロジェクト実行力

弊社は、多数のプロジェクトを遂行する中で、メンバーの生産性を向上させるとともに、パートナー会社様との連携を強化してきました。

ERP導入コンサルティングにおいては、優れた技術と導入ノウハウに加え、豊富な実践知識を活かして、高い評価をいただいています。

特にSAP導入に関しては、延べ242名の弊社SAP認定コンサルトが在籍しており、そのノウハウを最大限に活用しながら、高品質なサービス提供を可能としております。

さらに、これまでの実績を形式知としてテンプレート化し、プロジェクトの品質・コスト・納期を最適化できるプラットフォームを構築しております。そのプラットフォームを活用することにより、お客様を含めた組織的な生産性の向上を実現しています。

お客様に寄り添い、納得してもらいながら進める

お客様に寄り添い、納得してご利用いただけるようにサポートするのも、弊社の強みの一つです。弊社では「このタスクをすれば良いのです」と強引に進めません。SAP S/4HANA Cloud Public Editionの導入は、単なるタスクの遂行だけでは成功しないと考えています。

基幹システムの導入プロジェクトでは、部門横断での業務最適化を進めるために各部署の調整をする場面が出てきます。

例えば、営業部門は売上を重視して在庫の確保をしたい一方、生産部門では生産効率や製造コスト、納期を重視します。営業部門の目標を優先して多くの在庫を確保しようとすると、生産部門に負担がかかる可能性があります。

このように、各部門がそれぞれの目標を追求する中で生じる対立を解消し、全体最適化を図ることは容易ではありません。特に、反目する部門が集まり、新しい業務プロセスや役割分担の合意をすることは大変な作業です。

こうした困難を乗り越えるためにも、各部門の業務プロセスを適切に定義するとともに、プロジェクト目標を意識したコミュニケーションを丁寧にしていく必要があります。

必要に応じて、お客様のプロジェクト担当者と各部門の方々とのお打ち合わせにも同伴し、

納得感を持ってプロジェクトを進められるよう支援いたします。

お客様に寄り添った進め方こそが、弊社のプロジェクト成功の鍵です。

お客様よりも少し先を見て動くこと

私が重視していることは、お客様に丁寧に寄り添いながら常に一歩先を見て行動することです。

繰り返しになりますが、基幹システムの導入は、全社的な改革プロジェクトです。従来のシステムに慣れている現場では、多少の妥協が求められる場面もあります。だからこそ、お客様の不安を少しずつ解消し、心の負担を和らげることが大切です。

私は、事前にスケジュールと大まかなタスクをお客様に提示し、お客様が安心してプロジェクトを進められるよう配慮しています。次に何をすべきかが明確であれば、納得感を得られ、プロジェクトをスムーズに進行できます。違和感があれば早めに擦り合わせしてリスクを低減させることが可能です。

フェーズ毎のプロジェクトの勘所をつかんだ上で、お客様に寄り添い、丁寧にプロジェクトを進めることが大切だと考えています。

まとめ:全社改革だと意識した丁寧な調整が鍵

SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、幅広い業界業種で利用でき、優れた運用コストと迅速な導入が利点です。

導入には、全社的な最適化の観点で業務改革が求められます。しかし、従来のシステムに慣れている現場にとっては、新たな環境に適応するための調整が必要です。

弊社はお客様に寄り添いながらも、全社改革だと意識した丁寧な調整により、納得して利用できるようにサポートします。

SAP S/4HANA Cloud Public Editionの導入をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

※本記事の内容は2024年8月の取材をもとにしています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。


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