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RFP(提案依頼書)とは?作成するメリットや構成要素についてわかりやすく解説!
RFP(提案依頼書)は、発注側の企業や組織が受注側のSIerやベンダーに対してシステム構築・リプレイスを依頼する際に、自社システムに必要な要件を記載する書類です。
RFPをおろそかにするとSIerやベンダーに意図が伝わらず、要件通りのシステムが仕上がらない可能性があります。
この記事では、RFPの概要や、実際に作成する手順について紹介します。
RFPとは適切なシステム提案を受けるための書類のこと
RFPは、Request for Proposalの頭文字を取ったものです。
受注する企業や団体が、SIerやベンダーから最も適したシステムやサービスの提案を募る際に用いられます。
RFPの役割としては、目的のプロジェクトや業務に対し、具体的な要件を示すことで、提案者がその内容に即した提案書を作成できるようにすることです。
RFPの構成要素
RFPの構成要素について、確認していきましょう。
主な構成要素は以下のとおりです。
- 概要
- 依頼内容
- 選考内容
概要
RFPの概要では、以下のような要件を定義します。
- 目的:なぜシステム作成を依頼するのか、何をするための提案依頼書なのかを明確に記載します。
- 背景:システムが必要となった背景を記載します。
- 現状の課題:現時点で顕在化している課題や、解決すべき問題を記載します。
- 運用予定:自社運用なのか、他社運用なのかを記載します。状況に応じて組織図を記載する必要もあります。
- システムの構成:機器情報やサーバ・PC・ネットワーク状況の概要を記載します。
- 目指すゴール:システム導入によって得られる効果や品質・納期を記載します。
概要は提案者がプロジェクトの全体像を把握し、提案の方向性を定めるための基盤となります。
また、提案者にとって契約の対象となる業務内容や期待される成果物に関する理解を深めるための情報も含まれています。
複数人でチェックを行い、客観性が保たれた内容となるよう検討を重ねましょう。
依頼内容
依頼内容には以下のようなことを記載します。
- 依頼内容:具体的にどのようなシステムが欲しいか、どのようなシステムを提案して欲しいかを記載します。
- 依頼範囲:システム開発だけなのか、その後の保守・運用も必要なのかなどを記載します。
- 機能要件:システムのメインとなる機能を記載します。ケースによっては不要な機能も記載します。
- プロジェクト体制:プロジェクトに参加するにあたって、求める人材やマネジメント方法について記載します。
- テスト要件:導入後のシステムをテストするにあたっての要件を記入します。
- 移行要件:現行システムから移行するにあたって、注意すべき点を記入します。
- 教育要件:新しく構築したシステムを利用するユーザに対する教育の要件を記入します。
依頼内容の項目で、提案者は発注者の要望に適合した提案書を作成しやすくなります。
また、発注者にとっても結果的に受け取る提案の品質と精度を高めることにつながります。
より具体的かつ深堀した内容になるように留意しつつも、第三者が見てもわかりやすい内容を心がけましょう。
選考内容
選考内容として、以下のようなことを記載します。
- スケジュール:提案書の提出期限・選考の日程・結果の発表日などを記載します。
- 提案書の提出先:提案書を提出する先の名称・送り先・担当者指名などを記載します。
- 評価・採用の基準:提案書を選定する基準や重要なポイントを記載します。
- 提案者の実績:提案者の実績や、メンバーのスキル・経歴を記載します。
- コスト:提案に関するシステムを導入したり運用したりするための費用を記載します。
選考内容は選考プロセスの透明性を高め、公平に選定する基準となります。
具体的な数値や実績を記載してもらうように指示しましょう。
RFPを作成するべき理由
RFPを作成しないと、さまざまなトラブルが起こり得ます。
RFPを作成すべき主な理由は以下のとおりです。
- 要件や要望を的確に伝えられズレを解消できるから
- 複数の提案を比較できるから
- 自社を見直すきっかけになるから
詳しく見ていきましょう。
要件や要望を的確に伝えられズレを解消できるから
RFPを作成することで、発注者は自身の求める要件や要望を明確に伝達できます。
結果として、受け取る提案の質は向上し、期待に沿わない誤解や不一致を最小限に抑えることが可能です。
提案者も対象とするプロジェクトの要件を正しく理解することで、必要な情報を基に最適な解決策を提供できるようになります。
複数の提案を比較できるから
RFPによって、同様の条件で複数の提案者から提案書を得られます。
すべての提案が共通のフォーマットや基準に基づいているため、比較しやすく客観的な選定が可能です。
透明性の高い評価プロセスによって、最良の提案を選べるようになるでしょう。
自社を見直すきっかけになるから
RFPの作成過程で自社の現状分析や課題の再確認が求められます。
自社自身の現状をあらためて見直すことにより、課題意識の共有・運用効率の向上・業務プロセスの最適化などを行う機会にもつながります。
自社における本当のニーズを再認識し、その達成に向けた提案を外部から引き出すことが期待できるのです。
RFPの作成手順
RFPの具体的な作成手順は、以下のとおりです。
- プロジェクトチームの編成
- 現状の課題の洗い出し
- 解決策の決定
- RFPの作成・提出
- 提案書の比較・評価からベンダーの決定
それぞれ確認していきましょう。
1.プロジェクトチームの編成
RFP作成においては、プロジェクトの目的に沿ったチームを編成することが重要です。
担当者はプロジェクトの目的と要件を理解し、関連部門や外部専門家と連携しながらRFPのドラフトを作成します。
選出基準としては、業務に関連する部署から数名ずつ選定することが好ましいです。
実際に利用することを見越して、実務担当者の方を選出しましょう。
2.現状の課題の洗い出し
プロジェクトチームの編成が終わったら、次に現状分析を行い業務の課題点を明らかにしましょう。
発注者は自組織の弱点や必要とする改善点を把握する必要があり、これらの情報がRFPに明記されなければいけません。
対象業務を深く理解し、課題を洗い出すことが良質な提案書の作成につながります。
プロジェクトチームのメンバーが現場レベルで感じている課題をピックアップしましょう。
3.解決策の決定
求める解決策を実現するためには、具体的な機能や条件を設定する必要があります。
必要な技術基準や業務プロセスへの影響を考慮することが非常に重要です。
技術基準や業務プロセスへの影響が明確化されることで、重要なポイントを盛り込んだ提案書が作成できます。
4.RFPの作成・提出
課題を洗い出し、解決策が決まれば、記載項目を網羅したRFPの作成を行います。
受注者が理解しやすいかどうかを客観的に判断するためにも、審査するチームを別途用意しておくことが望ましいです。
抜けや漏れがあると提案者に意図が伝わらず、提案の質が低下する恐れがあります。
5.提案書の比較・評価からベンダーの決定
RFPに基づいた提案書を慎重に評価し、依頼するSIerやベンダーを選定しましょう。
RFPから、コスト・品質・実行能力などの要素を複合的に判断し、最適な提案者を決定します。
提案者を選定するにあたっても、複数人で検討した方が、客観性が保てます。
まとめ
RFPは、適切なシステム提案の選定だけでなく、発注者と提案者の双方に明確な基準を策定するための重要な書類です。
また、RFPを作成することで自社を客観的に理解しなおす効果も期待できるでしょう。
RFPの作成にお困りでしたら、ノムラシステムにご相談ください。