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パブリッククラウドの導入費用はいくら?メリットや削減方法も解説!
パブリッククラウドは、初期費用が安く、必要な分だけを利用することでコストを最適化しながら導入できます。
本記事では、パブリッククラウドの導入費用を中心に、導入のメリットや費用の削減方法を紹介します。
導入をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
なお弊社では、SAPのプロフェッショナル集団が提供するクラウドERPの導入支援を行っています。
お望みであれば弊社でパブリッククラウド環境のセットアップも可能ですので、導入でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
パブリッククラウド導入費用の相場
パブリッククラウドを導入する場合は、サーバやライセンスを購入する必要はありません。
導入後も使った分だけ支払う従量課金制となるため、自社でサーバを構築するオンプレミスと比べると導入費用を抑えられるのが特徴です。
従量課金制とは、利用したサービス量に応じて料金が発生する課金形態です。
サーバ、ストレージ、ネットワーク、データベースなど、利用するサービスの種類によって料金単価が変わり、利用時間や利用量を基に課金されます。
パブリッククラウドの費用の目安として、3つの主要なクラウドプロバイダー、Microsoft Azure、AWS、Google Cloudを例に、次の4つの主なサービスで比較しました。
- 仮想サーバー: コンピューティング能力
- ストレージ: 容量、パフォーマンス、耐久性
- ネットワーク: 帯域幅、スループット、レイテンシ
- データベース: データベースの種類、パフォーマンス、スケーラビリティ
※料金はあくまで目安であり、実際の費用は契約内容によって大きく変動します。
サービス | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
仮想サーバ | Azure Virtual Machines : 180USD/月(4 vCPU) | Amazon EC2:150USD/月 (4 vCPU) | Compute Engine : 150USD/月 (4 vCPU) |
ストレージ | Azure Blob Storage : 25.0USD/1TB (容量制限なし) | Amazon S3 : 25.0USD/1TB (容量制限なし) | Cloud Storage : 23.0USD/1TB (容量制限なし) |
ネットワーク | Azure Virtual Network : 180USD/1TB (100 Gbps) | Amazon Virtual Private Cloud : 120USD/1TB (100 Gbps) | Virtual Private Cloud : 110USD/1TB(100 Gbps) |
データベース | Azure Cosmos DB : 1TB 300USD~(高いスケーラビリティとグローバルリーチ) | Amazon DynamoDB : 1TB 400USD~(高いスケーラビリティと低遅延) | Cloud Bigtable : 1TB 600USD~(大規模なデータ分析、ログ分析、IoTデータ管理) |
※2024年3月の概算料金
パブリッククラウド導入費用の内訳
パブリッククラウドの導入を考える際、どのような費用が発生するかを把握しておく必要があります。
パブリッククラウド導入にかかる費用は主に次の3つです。
- 初期費用
- ランニングコスト
- 運用にかかる人件費
初期費用
パブリッククラウドは、サービス利用のための初期費用や機器の購入代・構築費用などがかからないため、導入のための初期費用が安価になります。
パブリッククラウド導入にかかる一般的な初期費用は、次の2つです。
- 現在のシステムからの移行作業費
- 要件定義、システム設計、構築、テストなどにかかる費用
費用を抑えながらITインフラの利用を開始したい場合は、パブリッククラウドがオススメです。
ランニングコスト
パブリッククラウドの主なランニングコストはサービスの利用料金です。
従量課金制のものが多く、利用時間と利用量によって金額が変わります。
1分または1秒単位で課金されるのが一般的です。
利用時間に応じて料金が加算されるため、土日や夜間など業務が行われない時間帯に利用を停止することで、コストを削減できるのも特徴です。
課金額は契約内容によって異なりますが、次のような項目で決まります。
- サーバの台数
- ストレージの使用容量
- データの転送量
- スペック(CPUやメモリなど)
オンプレミスとは違い、使い続ける限り料金がかかることに注意が必要です。
運用にかかる人件費
パブリッククラウドの運用にはクラウドやインフラに関する技術力を持つ人材が必要となり、担当者育成や人件費が必要です。
担当者の主な作業は、次の通りです。
- アカウント管理・設定
- セキュリティ対策
- システム稼働状況の監視・障害対応
- コスト管理
- トラブルシューティング・ヘルプデスク
- OSなどのバージョンアップ対応
クラウドサービス運用にかかる人件費は、規模と利用量が増えると比例的に増加する傾向があります。
導入を検討する際は、初期費用だけでなく運用にかかる人件費も考慮し、長期的なコストを試算することが重要です。
オンプレミス型との費用の比較
パブリッククラウドとオンプレミス型(※1)は、初期費用とランニングコストのかかり方に大きな違いがあります。
オンプレミス型は機器やソフトウェアを購入するための初期費用が高額になりますが、その分ランニングコストは抑えられます。
費用の違いの詳細は次の表のとおりです。
比較項目 | パブリッククラウド | オンプレミス |
初期費用 | サーバやネットワーク機器などの購入が不要で低額 | サーバ、ネットワーク機器、ソフトウェアなどの購入が必要で高額 |
ランニングコスト | 従量課金制のサービス利用料がかかるため高額。ただし運用のコストは削減可能 | 電気代、空調費、運用のための人件費など。 費用は低額だが運用の手間は大きい |
リソースの追加削除 | 利用状況に合わせてリソースを簡単に増減できるため、費用の無駄がない | サーバなどのリソースを追加するには、物理的な機器の購入が必要で高額になる |
セキュリティ | パブリッククラウド側のセキュリティ対策はサービス事業者が実施するため低額 | すべて自社で対策する必要があり、ファイアウォール、アンチウイルスソフトなどの購入費や運用・管理費が高額 |
※1 サーバーやネットワークなどの機器を自社で保有して管理する方式
パブリッククラウド導入の費用面でのメリット・デメリット
パブリッククラウドの導入を検討する際には、自社のニーズや課題を明確にし、メリットとデメリットを理解した上で判断してください。
メリット:余計なコストを削減できる
パブリッククラウドを導入するメリットは、初期費用や運用コストなど余計なコストを削減できることです。
サービス事業者が提供している仮想サーバを利用するため、ハードウェアの購入やゼロからの環境構築が必要なくなり、導入時の初期費用を削減できます。
アップデートやメンテナンスなどの運用・保守もサービス事業者が実施してくれます。
インフラ面の管理が不要で、導入後の運用コストが抑えやすいのは、クラウドサーバの大きなメリットです。
また、必要に応じて利用するサービスやディスク容量などを自由に変更できるため、無駄な費用を抑えられます。
以下の記事では、パブリッククラウドを導入することで費用を抑えた事例を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:パブリッククラウドの成功事例5選|導入するメリット
デメリット:トータルの費用が高額になるケースもある
パブリッククラウドは、トータルの費用がオンプレミスより高額になる場合があります。
必要最小限のリソースで利用を開始しても、運用しているうちにさまざまなサービスの利用量が増えていくことがあります。
月々の費用が最初の試算以上に高くなる可能性があるため注意が必要です。
また、オンプレミスはシステムを自由にカスタマイズできるのに対して、パブリッククラウドはカスタマイズできる範囲が限られています。
利用しているサービスに必要な機能が提供されていない場合は、複数のサービスを組み合わせるなどの手段が必要になり、費用が増大する場合があります。
パブリッククラウドのメリット・デメリットについては、こちらもご参考にしてください。
関連記事:パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いは?メリット・デメリットも解説
パブリッククラウドの費用を削減するには
パブリッククラウドの費用を削減するには、低価格帯のサービス(インスタンス)と割引サービスを利用する2つの方法があります。
低価格帯インスタンスは、サーバの余剰リソースを活用し、通常よりも安価な料金で利用できます。
ただし利用に際して下記に注意が必要です。
- 低速なCPU、メモリ容量が小さい、ストレージがSSDではなくHDDなどリソースの制限がある場合がある
- 処理速度やスループットが低い場合がある
- 追加でストレージ容量を増やせない場合がある
- サポートの一部や使用できるアプリケーションが制限されている場合がある
代表的な低価格帯インスタンスは、次の表の通りです。
- AWS: スポットインスタンス
- GCP: プリエンプティブルインスタンスとSpot VM
- Azure: 低優先度VMインスタンス
割引サービスは、長期利用を前提にした割引サービスです。
通常よりも安価な料金で利用でき、コスト削減に効果的な手段として活用できます。
自社のニーズに合うようなら、2つを組み合わせることで、費用削減の助けになります。
まとめ
パブリッククラウドは、オンプレミスに比べると初期費用が抑えられるところが特徴です。
必要に応じて使用するリソースを変更できるため、オンプレミスと比べると費用を抑えて運用を開始できます。
コスト削減が課題の企業には、パブリッククラウドがオススメです。
導入後のメリット・デメリットを把握したうえで、自社に適したサービスを導入し運用することで、業務の効率化やコストの削減が実現できます。
パブリッククラウドの導入に迷っている場合は、まずは弊社までご相談ください。