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IT業界におけるオファリングの意味とは?ソリューションとの違いも解説
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IT業界では近年「オファリング」という言葉が使われるようになりました。
大手IT企業も取り組むオファリングは、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の注目ワードとなっています。
本記事では、オファリングの意味やソリューションとの違いについて解説。
オファリングのメリットや事例についてもあわせて紹介します。
「オファリング」とは?|パッケージ型の提案ビジネス
「オファリング」とは、製品・サービス・ノウハウなどをパッケージ化して提案するビジネスモデルです。
この言葉は、とくにDX分野でよく使われるようになりました。
以下では、オファリングの意味と、似た概念である「ソリューション」との違いについて解説します。
コンサルティング用語としてのオファリングの意味
「オファリング(Offering)」は、もともとコンサルティング業界で使われている用語です。
コンサルティング用語のオファリングは、「提供する/提案する」を意味するオファー(Offer)から、顧客へコンサルティングサービスを提供することを指します。
IT/DX分野のオファリング
「DXオファリング」などに代表されるように、とくにIT/DX分野でオファリングが流行しています。
IT業界のオファリングは、製品やサービス、ソリューションなどを組み合わせたパッケージを指すことが多いです。
たとえばDX分野では、基幹システムの構築やクラウド化、データ利活用のノウハウなどをパッケージ化し、顧客ニーズに応じた形で提供されます。
また、オファリングは基本的にリカーリング(継続課金)型である点も特徴で、従来の受託開発型から脱却したいIT企業の注目を集めているのも流行の背景です。
オファリングとソリューションの違い
オファリングと混同しやすい概念として「ソリューション」があります。
ソリューションとは、顧客課題を解決すること、またはそのための製品・サービスのことです。
IT業界においては、顧客の個別要望に応じて、受託型でシステムを独自に開発することをソリューションと呼ぶ場合も少なくありません。
一方オファリングは、あらかじめ用意された自社の技術やサービス、ノウハウなどを組み合わせたパッケージを提案するものです。
オファリングは既存のシステムやサービスといったアセットがベースとなる点で、個別開発されるソリューションと異なります。
IT業界でオファリングが注目される理由
オファリングがIT業界で注目されはじめている背景には、以下のようなポイントが挙げられます。
- DX/AI時代に適したビジネスモデルであるため
- エンジニア不足に苦しむ企業の打開策となるため
- 富士通、NEC、日立など大手IT企業が進めているため
オファリングでは、単なるシステム提供にとどまらず、デジタル化・データ活用などによる経営課題解決や価値創出までの支援を目的とすることが多いです。
したがってDXやAI活用が求められる時代にフィットしています。
顧客視点においても、多くの企業がデジタル化の実現に苦戦する中、DXオファリングはそのニーズに応えるサービスとして注目されるでしょう。
後述のとおり、大手ITベンダーが新規の事業戦略としてオファリングビジネスに舵取りしている事実もあり、ますます国内IT業界からの注目を集めている状況です。
オファリングを導入するメリット
オファリングを導入するメリットとしては、以下が挙げられます。
- DX化を一気通貫でサポートしてもらえる
- デジタル化やAI活用により競争力強化につながる
- 人材育成・組織開発・業務改善ができる
- 実績をもとに提案されるため安心して導入できる
とくに「DX化を実現する方法がわからない、対応しきれない」と悩む顧客にとっては、システム導入から業務効率化、データ活用等まで一貫サポートしてもらえるのはオファリングの大きなメリットです。
また、オファリングはベンダー企業のアセットや実績をもとに提案されるため、顧客は安心して導入できることもメリットとして挙げられます。
オファリングの事例
オファリングの代表的な事例として挙げられるのは以下の3つです。
- 富士通「Uvance」
- NEC「DXオファリング」
- 日立「クラウド&DXオファリング」
富士通|7つの分野でSXを支援する「Fujitsu Uvance」
「Fujitsu Uvance(ユーバンス)」は、富士通が2021年10月に発表したオファリング事業ブランドです。
Uvanceは、社会課題の解決やSX(サステナビリティトランスフォーメーション)推進を目指しているのが大きな特徴。
その重点分野は以下の7つとされています。
- Sustainable Manufacturing(環境と人に配慮した循環型でトレーサブルなものづくり)
- Consumer Experience(生活者に多様な体験を届ける決済・小売・流通)
- Healthy Living(あらゆる人々のウェルビーイングな暮らしをサポート)
- Trusted Society(安心・安全でレジリエントな社会づくり)
- Digital Shifts(データドリブン、働き方改革)
- Business Applications(クラウドインテグレーション、アプリケーション)
- Hybrid IT(クラウドセキュリティ)
Uvanceは2025年度に売上収益7,000億円達成を目標に掲げ、オファリングを中核とした事業拡大を本格化させています。
NEC|DXに特化した「DXオファリング」
NECが提供するのは、DXに特化した「DXオファリング」です。
NECのDXオファリングに関するアプローチは具体的に公表されており、以下3つをDX推進の主要素としています。
① ビジネスプロセス | 顧客のDX課題を解決する一気通貫体制 |
② テクノロジー | NECの共通基盤「NEC Digital Platform」により、幅広いニーズへ応える開発・実行・運用機能 |
③ 組織・人材 | DX人材育成プログラムによる社内人材のデジタルシフト |
上記をはじめ、DXオファリングにはNEC独自の技術やノウハウが集結している点が強みです。
NECは、このDXオファリングをはじめとしたコアDX事業で、2025年度に売上収益5,700億円を目指しています。
参考:NECがDXオファリングで目指す社会のデジタルトランスフォーメーション(NEC)
日立|クラウド化とデータ活用を推進する「クラウド&DXオファリング」
日立の「クラウド&DXオファリング」は、その名のとおりクラウドベースのDXオファリング事業です。
クラウド&DXオファリングでは、以下2つの「ジャーニー」で顧客のDX推進を支援すると公表されています。
- クラウド化を進めるジャーニー
- データ活用を進めるジャーニー
また、オファリングテーマが多岐にわたる点も日立の強み。
「セキュリティ高度化オファリング」「サプライチェーン高度化オファリング」など、顧客ニーズに応じたオファリングを提供しています。
参考:株式会社日立製作所
大手IT企業も取り組む「オファリング」はDX時代のトレンドワード
IT業界におけるオファリングとは、製品やサービスを、顧客のニーズに応じた形に組み合わせてパッケージ化し提供するビジネスモデルです。
昨今では富士通・NEC・日立をはじめとした大手IT企業もオファリング事業に取り組みはじめ、DX領域ではトレンドワード的に広まりつつあります。
DX/AI時代においてオファリングの重要度は増しており、今後の動向にも注目です。
また、ノムラシステムにおいてもDXコンサルティングを用意しています。
知識やノウハウを持ったコンサルタントがDX推進をサポートしますので、ぜひご相談ください。