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官公庁DXの進め方とは?|先行事例や導入の手順を解説

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官公庁DXの進め方とは?|先行事例や導入の手順を解説

IT技術の発展に伴い、業務の効率化やビジネスプロセスの抜本的な変革を目指してデジタル化を進める「DX推進」が注目を集めています。

DX推進というと、主に民間企業をイメージしがちですが、最近では官公庁や自治体でも積極的に取り組むケースが増えているのが現状です。

この記事では、官公庁におけるDXの進め方や導入事例について解説します。

官公庁のDX推進担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

官公庁でDXが必要な理由は?|労働力不足の解消

官公庁でDXが求められる理由は、少子高齢化による労働力不足への対応と、多様化する住民ニーズに迅速に応えるためです。

人口減少に伴い、官公庁でも人手不足が深刻化しており、業務の自動化や効率化を図るためにIT技術の導入が欠かせません。

例えば、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用することで、これまで人が行っていた定型業務を自動化し、職員がより重要な業務に集中できるようになります。

また、ガバメントクラウド(Gov-Cloud)を活用して行政システムを標準化・共通化することで、手続きのオンライン化が進み、住民の利便性も向上します。

DXにより、住民の利便性が向上するサービス提供が可能になるのも必要な理由の1つです。

例えば、オンライン申請の導入により窓口での長い待ち時間を削減し、自宅から簡単に手続きを行えるようにすることで、利便性を大幅に向上させられるでしょう。

こうしたサービスの向上は、行政と住民との信頼関係を強化する効果も期待できます。

ただし、DXを進める際には、単にデジタル技術を導入するだけでなく、職員のITリテラシーの向上や、変革に対する意識改革も必要です。

なぜ進まない?官公庁でDXが遅れている理由

官公庁においてDXの進展が遅れている理由について見ていきましょう。

  • DX・IT人材の不足
  • 既存業務とDX業務の両立が難しい
  • 予算上の問題

考えられる上記理由について、解説していきます。

DX・IT人材の不足

少子高齢化の影響により、DXやIT人材の数が減少しています。

その結果、官公庁では、DXやITに詳しい人材の確保が難しくなり、専門知識の不足が原因でDXの取り組みが進みにくい状況です。

しかし、官公庁内でDX・IT人材を直接採用したり、既存の職員を教育したりするのが難しい場合は、外部の専門家やコンサルティング会社を活用する方法があります。

例えば、他の自治体と共同で研修を行ったり、専門知識を持つコンサルタントと連携したりすることで、ノウハウを取り入れながら組織内の人材育成を進めることが可能です。

既存業務とDX業務の両立が難しい

DX推進の現場では、既存の業務を担当している社員が、新たにDX業務を兼任するケースがよく見られます。

しかし、このような状況では通常の業務に加えてDX業務も担当しなければならないため、業務負荷が大幅に増加し、結果として十分なパフォーマンスを発揮できず、DXプロジェクトが遅れるリスクがあります。

この問題の背景は、リソース不足や上層部のサポート不足が一例です。

リソースが十分に確保されていないため、担当者は両方の業務を両立することに限界を感じやすくなります。

また、上層部の理解が不足していると、必要な支援や予算を得ることが難しくなることも一因です。

予算上の問題

DXを進める際、業務範囲が広がると導入費や開発費が大幅に増加し、予算の確保が課題となることがあります。

特に、システム導入や人件費、運用コストを賄うには十分な予算が必要です。

予算が不足している場合は、小規模な範囲からDXを開始し、初期段階で成果を示すことが重要です。

また、DXによって得られる効果を具体的な数値や事例で経営層に伝え、理解を深めてもらうことも求められます。

例えば、コスト削減や業務効率化の成果を示す際には、費用対効果分析や費用便益比の評価を活用することで、DXの経済的な利点を明確に伝えられるでしょう。

このようにして、DXが企業全体にもたらすポジティブな影響を経営陣に納得させられれば、予算の確保を進めやすくなります。

さらに、成功事例を積み重ねて徐々に取り組みの規模を拡大する「スモールスタート」のアプローチも効果的です。

官公庁におけるDXの先行事例5選

官公庁のDXが進んでいる以下の成功事例を5つご紹介します。

  • 経済産業省|法人デジタルプラットフォーム
  • 国土交通省|i-Construction
  • 神奈川県藤沢市|ドローンによるレスキュー活動
  • 鳥取県|ICT活用による生活習慣病対策
  • 北海道天塩町|notteco

経済産業省|法人デジタルプラットフォーム

経済産業省では、利用者の利便性を高めるために「法人デジタルプラットフォーム」を構築しました。

このプラットフォームでは、一つのIDを使って複数の行政手続きを認証できる仕組みが導入されているのが特徴です。

また、行政手続きに必要な認証やデータ連携の機能を標準化し、APIを活用してデータを柔軟に連携できるように設計されています。

さらに、このプラットフォームでは、一度提出した情報を他の手続きで再提出する必要がない「ワンスオンリー」を実現しています。

また、収集されたデータを活用して、政策の立案や施策の精度を向上させることも期待されています。

多様なデータの分析を通じて、支援策の提案や規制の適切な実施が可能になり、政策実行の質の向上が図られるでしょう。

このように、法人デジタルプラットフォームは、デジタルガバメントの実現を目指し、官民双方の業務効率化とデータ活用による政策の質向上に貢献しています。

国土交通省|i-Construction

国土交通省は、魅力的な建設現場の実現を目指し、「i-Construction」を推進しています。

i-Constructionとは、建設事業のプロセス全体にICT技術を取り入れて、生産性を向上させるための取り組みです。

この取り組みは以下の3つの柱を中心に進められています。

  • ICTの全面的な活用(ICT土工)
  • 全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化など)
  • 施工時期の平準化

測量から設計、施工、検査、維持管理までのすべての工程でデジタル技術が活用されています。

具体的には、ドローンを用いた3Dデータの取得や、IoT技術による重機の自動制御などです。

これにより、作業の効率化と精度向上が実現され、人手不足への対応や現場の安全性向上、作業負担の軽減が期待されています。

さらに、i-Constructionは、建設現場の生産性向上だけでなく、業界全体の労働環境の改善や、新たな人材の活躍機会の創出も目指しています。

将来的には、建設現場の自動化やロボット化を進め、建設業のイメージ向上にもつながるとされている取り組みです。

神奈川県藤沢市|ドローンによるレスキュー活動

神奈川県藤沢市では、夏の間、カメラやマイク、浮力体を搭載したドローンを活用し、ライフセーバーのパトロール活動を支援しています。

2020年に新型コロナウイルスの影響でライフセーバーの人数が減少したことを受け、藤沢市は初めてドローンを導入しました。

このドローンは海岸や海上の監視だけでなく、スピーカーで注意を呼びかけたり、緊急時には浮力体を投下して救助を支援したりできます。

藤沢市ではマリンスポーツが盛んな一方、海での事故リスクが懸念されていました。

しかし、ドローンの導入により、ライフセーバーの人数が少なくても効果的に海岸の安全を確保できるようになりました。

また、ドローンは人の目が届かないエリアの監視も可能で、今後は海水浴場だけでなく、災害時や危機管理対策としても活用が期待されています。

鳥取県|ICT活用による生活習慣病対策

鳥取県では、ICTを活用した生活習慣病対策を推進しています。

特に、40〜60代の働き盛り世代を対象に、最新のICT機器やウェアラブル端末を活用した糖尿病予防プログラムを実施しているのが特徴です。

このプログラムでは、3か月間にわたり血糖値や体重、血圧、運動量などのバイタルデータを継続的にモニタリングし、保健師が遠隔で生活習慣の改善をサポートします。

ICTの導入により、参加者の負担を軽減しつつ、高い継続率を維持できているため、早期からの対策によって健康寿命の延伸が期待されています。

北海道天塩町|notteco

北海道天塩町では、2007年から長距離相乗りマッチングサービス「notteco」を導入しています。

このサービスは、公共交通機関が不足している天塩町と稚内市を結ぶ新しい移動手段として開発されました。

稚内市までの距離は約70kmで、バスや電車を乗り継ぐと移動に2時間以上かかることから、住民からは「移動の不便さを解消したい」という声が上がっていました。

「notteco」は、車の空席状況を見える化し、稚内に向かうドライバーと乗車希望者をマッチングする仕組みを提供しています。

乗車時にはガソリン代や高速料金を乗車人数で割り勘することで、移動コストの負担を軽減。

これにより、公共交通機関よりも低コストでの移動が可能になります。

さらに、デジタル機器を持たない住民も利用できるように、電話でのサポート窓口を設置し、登録や乗車依頼の代行を行っています。

2017年には実証実験として住民向けの説明会を開催し、寄せられた意見をもとにサービスを改良しました。

その結果、移動の効率化や利便性の向上だけでなく、住民の移動手段が多様化し、より便利になりました。

【3STEP】官公庁DXの進め方

官公庁DXの進め方

官公庁のDXを効果的に進めるための3つのステップを解説します。

  1. DX推進ビジョンと目標の設定
  2. DX推進計画策定・体制の整備
  3. DX推進計画の実行・評価・改善

スムーズにDXを進めるためにも、これらのステップを事前に確認しておきましょう。

1.DX推進ビジョンと目標の設定

全庁でDXを推進するには、全庁的な方針の設定が不可欠です。

まず、現状分析を行い、業務の課題や改善ポイントを明確にした上で、ビジョンと目標を策定しましょう。

この際、単にデジタル技術を導入するだけでなく、「業務の無駄を減らし、価値創造へシフトする」という全庁的な変革を目指すことが重要です。

策定したビジョンや目標は、トップマネジメントが中心となり、「DX推進憲章」や「顧客ファースト」といった基本方針として定義し、全庁に徹底的に共有する必要があります。

また、各部署に「DX推進員」を配置し、情報の共有や定期的なフォローアップを行うことで、全庁的な理解と認識の浸透を図りましょう。

ビジョンや目標の共有が不十分だと、職場ごとに混乱が生じたり、方針のズレが発生したりするリスクがあります。

これを避けるためには、各部署の現状や課題を統合し、各課を横断的に連携させる「全庁一丸体制」を整えることが大切です。

2.DX推進計画策定・体制の整備

推進体制の整備には、人事面と組織面の両方を考慮することが大切です。

人事面では、デジタル人材の確保や育成を進め、長期的な視点でスキル向上のプランを立てましょう。

もし社内で必要な人材の確保が難しい場合は、外部の専門家を活用することも選択肢の一つです。

また、専門知識の共有やスキル向上を目的とした研修プログラムの実施も効果的です。

組織面では、部門間の連携を強化するために、DX推進チームやプロジェクトリーダーを配置し、定期的な意見交換の場を設けましょう。

さらに、組織内のコミュニケーションを促進し、部門の垣根を越えたフラットな組織構造を目指すことで、より円滑な連携が図れます。

3.DX推進計画の実行・評価・改善

DXの推進は、業務の効率化や住民サービスの向上を目指す取り組みです。

しかし、ソフトウェアの導入やシステムの開発を行っただけでは完了しません。

住民のニーズや法整備の進展など、外部環境の変化に伴い業務内容も変わるため、継続的な改善が求められます。

そのためには、DXで構築したシステムから得られるデータを活用し、システムの利用率や業務の迅速化、住民の利便性向上などの具体的な指標をもとに、定期的に効果を観測することが重要です。

観測した結果をもとにして、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を意識して取り組みましょう。

官公庁DXの推進は外部資源も活用しよう

官公庁業務のDX推進には、内部の業務に精通した人材だけでなく、ITやDXに精通した専門人材のサポートも重要です。

もし庁内に適切な人材が不足している場合は、外部のリソースを活用することを検討してみてください。

ノムラシステムコーポレーションでは、豊富なIT・DXの専門人材を擁し、数多くのDX支援実績があります。

DXのご相談やサポートが必要な際は、ぜひ弊社にお問い合わせください。


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