コンサルタント記事

経営課題にアプローチする新しい保守のカタチとは?|DXの現場

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経営課題にアプローチする新しい保守のカタチとは?|DXの現場
  • 跡部 雅子
  • PMOコンサルティング事業部 マネージャー SAP認定コンサルタント(FI /BI)、SAP Public edition

「DXの現場」では、ノムラシステムコーポレーションの現役コンサルタントが、SAPの導入をはじめ、DXに20年以上携わった経験から、DXで重要となるポイントについて紹介します。

今回のテーマは「保守の現場と価値提供」です。

これまでの保守は、問題が発生してから対応する「受動的な保守」が主流でした。しかし、ノムラシステムコーポレーションでは、お客様にさらなる価値を提供できるような「提案型の保守」も視野に入れています。

本記事では、保守の現場ではどのように安定的にシステムを運用しているのか。また、システム運用・保守面におけるコスト削減のために、システム導入時にできることについてもご紹介します。

従来型の保守とは?

保守サポートとは、お客様のシステムが安定的に稼働するために必要不可欠な業務で、一般的にはシステム導入後のトラブル対応や、追加の要件に応じたサポートを提供する業務を指します。

具体的には、以下のようなトラブルに対するサポートを行います。

  • システムの動作不良:システムが正常に動作しない場合の修正対応
  • エラーの発生:システム上でエラーが表示された際の原因特定と修正
  • データの不整合:表示されている文字や数値が誤っている場合の修正や調整

システムの安定性を確保しながら、お客様の要望に応じた対応を速やかに実施することが、保守業務における重要な役割です。

従来型の保守の課題

従来の保守は、お客様からの不具合対応や機能追加リクエストに対する『受動的な対応』が中心です。

この体制では安定的なシステム運用と迅速な問題対処が求められますが、保守チームが常時監視・待機する必要があるため、システムに問題が発生していない期間もコストが発生してしまいます。

こうした課題に対処するために、私たちは従来の「受動的な対応」から「提案型の保守」に移行できないかと考えています。

「提案型の保守」とは?

「提案型の保守」とは、システムの安定運用を支援しながら、日々の保守で蓄積したデータから課題を分析し、改善策を提案する取り組みです。

例えば、保守で蓄積されたデータをもとに、以下のような分析・提案ができると考えています。

  • 問題が集中している領域はどこか
  • システムに改善すべき点はあるか
  • お客様の活用方法に改善の余地はないか

私たちは、単なるトラブル対応にとどまらず、保守で得られた分析データをもとに根本的な改善策の提案ができないか、常に考えるようにしています。

また必要に応じて追加機能や新しい製品も提案することで、お客様が目指している課題解決を一緒に目指せたらと考えています。

私たちの目標は提案型の保守を通じて、お客様の課題解決にとどまらず、新たな価値を創出することで、双方にとって価値あるパートナーシップを築くことです。

保守の現場

これまでは、私たちが目指している保守の形についてお伝えしてきました。ここからは具体的に、私がどのように保守を実施しているのかについてご紹介させていただきます。

現在弊社が担当させていただいているお客様との取引は、2年前にSAP導入の一部支援を実施したことがきっかけです。その後、保守業務をご依頼いただくことになりました。

私が主に扱っているのは、事業計画や予算を立てる際に利用されるBPC(Business Planning and Consolidation)というシステムです。

BPCは予算計画を作成する時期に集中的に利用されるシステムであるため、そのご利用のタイミングに合わせて、問い合わせが一時的に増加することがあります。

SAPのエラー対応は、一見すると複雑で難しそうに思えるかもしれません。しかし実際の作業は、とても地道で基本的なものです。

具体的には、エラーの発生箇所を中心に、以下のような確認作業を実施します:

  • プログラムやその設定値は正しいか
  • データの入力内容に間違いはないか
  • 計算ロジックは想定通りに動いているか

このように、一つひとつのステップを丁寧に確認していくことで、問題の原因を突き止めることができます。

保守コストを下げるためにシステム導入時にできること

システム導入時に「設計書」を作成することで、長期的な保守コストを削減することができます。

設計書とは、導入したSAPシステムのマニュアルのようなもので、プログラムの構造や設定内容が詳細に記載された資料を指します。

設計書を作成することで、システムの動作や構成を迅速に把握できるため、問い合わせ対応の時間は大幅に短縮できます。場合によっては1/5程度に短縮できることもあります。

一方、設計書がない場合は、問題が発生した際にはプログラムを一行ずつ確認しながら、エラー箇所を探さなければなりません。

納期やコストの関係で設計書の作成を省く場合もあると思いますが、長期的な保守コストを考えると、システム導入時に設計書を作成することがおすすめです。

設計書により、保守やシステムの追加などの対応が迅速かつスムーズになるため、結果的にコスト削減につながります。

強固な保守体制チームを構築したい

提案型の保守を目指すためには、お客様と伴走しながら業務を進める必要があります。

お客様と伴走するためにも、より強固な保守体制を構築したいと考えています。

現在は、私が窓口として担当するお客様の保守全体を統括しつつ、若手メンバーと連携しながら、お客様からの依頼に回答している状況です。

この保守体制をさらに強固にするため、チーム内での知見の蓄積や若手メンバーの育成を進めています。

私たちの最優先事項は、お客様の目標達成です。

予算と期限を守りながら「どうすればお客様が目標を達成できるのか」を意識して、チームと共に仕事を進めていきたいと考えています。

まとめ:ノムラシステムコーポレーションは提案型の保守を目指したい

保守は、システムのトラブルや障害が発生した際に、復旧や対策を行う業務です。しかし保守は何かが発生した際に初めて対応する「受動的な保守」が主流です。

私たちが考える保守の方向性は、単にトラブル対応にとどまらず、保守を通じて蓄積された課題を集約・分析し、その結果をもとに改善策を提案することです。

分析結果をもとに提案することで、システムを最大限に活用し、お客様の業務課題をサポートができると思っています。

ノムラシステムコーポレーションは、保守からでも請負が可能です。従来の保守から、徐々に「提案型の保守」へと移行することで、お客様のシステムを最大限に活かした課題解決につなげていきたいと考えています。

私たちは保守からでもお客様のサポートを実施できます。

お気軽にお問い合わせください。

※本記事の内容は2024年10月の取材をもとにしています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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