人財/人材育成

求める人材が育つ人材育成計画の作り方|計画の立て方や計画書のテンプレートも紹介

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PDCA人材育成新人教育評価制度

求める人材が育つ人材育成計画の作り方|計画の立て方や計画書のテンプレートも紹介

未曾有の少子高齢化の波が訪れてくる日本にとって、労働力の確保は非常に重要な課題の一つです。

そんな中、会社は優秀な人材を新たに確保するだけでなく自社の社員を育成させる「人材育成」も重要になってきます。

実際、厚生労働省が公表している資料によると、調査対象の約半数以上の会社が今後強化すべき事項として「人材の能力・資質を高める育成体系」を挙げています。

今後強化すべき事項

引用:人材育成の現状と課題|厚生労働省

資料からも分かる通り、人材育成は会社の戦略の一つとして大きく位置づけられる存在といっても過言ではありません。

今回は人材育成の計画について解説します。

人材育成計画書の作り方や重要性、テンプレートなども紹介するので検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

人材育成計画のコツは短期ではなく中長期的な視点を持つこと

人材育成は「教育」ではなく「学習」に主眼が置かれます。

すなわち個人に対し「外部から内部に働きかけること」よりも「内部から外部に働きかけること」が重要で、自発的に会社の意図を汲み取り動けるようになることが目的です。

人材育成計画は、その目的からブレないように組む必要があります。

自発的な行動を促すには「働きやすい環境作り」や「学ぶ力を獲得する機会の創出」など一朝一夕で変えられない部分も影響します。

目先の成果にとらわれず中長期的な視点をもって計画するようにしましょう。

人材育成計画の作成に必要なスキル

人材育成計画を作成するには、以下のようなスキルがあるとスムーズに進むでしょう。

  • 現状を把握するスキル
  • 計画を策定するスキル
  • 社員を評価するスキル

それぞれ詳しく解説していきます。

現状を把握するスキル

効果的な人材育成計画を作成するためには、現在の社内状況を把握するスキルが必要になります。

例えば、「部署間の連携が悪くプロジェクトの進行が遅くなる」といった現状を把握したとします。

改善策として「部署を横断したコミュニケーション活性化」を目的とする人材育成のプログラムを組み込めば、現状の課題を改善できる人材が生まれるかもしれません。

効果的な人材育成計画を作成するには、会社全体や社内の現状をできるだけ正確に把握するスキルが必要になります。

計画を策定するスキル

計画を策定できるスキルとは、目標から必要な要素を逆算し、効率的なスケジュールに落とし込むスキルです。

理想的な人材が持つ能力を育てるためには、適切な教育方法はもちろん、習得するまでの時間も重要になります。

適切な育成計画を策定できれば、必然的に社員の能力の底上げに繋がり、企業全体としてもさらに成長できます。

どの教育方法にどれくらいの時間がかかるのかは常に把握しておきましょう。

社員を評価するスキル

人材育成計画の策定には、ITスキルや業務処理能力などハードスキルだけでなく、性格や入社した背景などのソフトスキルも含めて、適切に把握しておく必要があります。

適切に社員の能力を把握し、計画をオーダメイドすることで理想的な人材育成を最速で行えるでしょう。

もちろんプライベートのことまで知る必要はありません。

ただし当人のソフトスキルは正しく理解することで、教育方法やミスのフォローを個人に合わせられ、離職や休職を防ぐことにもつながります。

人材育成計画の立て方

人材育成計画は以下のステップに沿って計画していきます。

  1. 会社の現状を把握し理想の人物像を明確にする
  2. 現状と理想のギャップを埋めるための戦略を立てる
  3. 戦略を具体的な計画に落とし込む

それぞれ、詳しく解説していきます。

1.会社の現状を把握し理想の人物像を明確にする

人材育成計画を立てていくのに、まず重要となるのが会社の現状把握と理想となる人材の明確化です。

冒頭でも触れましたが、人材育成の目的は「自発的に会社の戦略を実現してくれる人材」の創出です。

そのためには、「どのようなマインドが必要か」「どのような能力をもった人材が必要か」など、理想となる人材の解像度を上げる必要があります。

あるいは「どのような会社にしたいか」という観点から逆算して理想の人材を考えてもいいでしょう。

理想とすべき人材に正解は存在しませんが、共通して必要な要素はいくつかあります。

例えば、以下のような要素です。

  • 自発的に行動できる
  • コミュニケーション能力がある
  • 臨機応変な対応ができる

理想となる人材を明確にするにはどのような要素が必要なのか考えてみましょう。

2.現状と理想のギャップを埋めるための戦略を立てる

会社の現状を把握し理想となる人材を明確にした後は、ギャップを埋めるための戦略を立てていきます。

例えば自走できる社員数が不足していると判断した場合には、個別研修を導入し、能力値の底上げをするという戦略が立てられます。

加えて人材育成は、会社が掲げる目標達成に寄与するため、なるべく会社の経営戦略と連動したものが望ましいでしょう。

また、社員のニーズも鑑みる必要があります。

社員が成長したいと思っている分野を育成計画に反映することで、モチベーションが向上し、意欲的かつ自発的に取り組んでくれるでしょう。

3.戦略を具体的な計画に落とし込む

戦略を立てたら、最後は具体的な計画に落とし込みます。

ここでのポイントは、長期的な計画から立てることです。

現在の状況から離れた未来の理想人材を描き、そのためには何が必要なのかを逆算して計画を立てることで、短期、中期には何を実施すべきかが自ずと見えてきます。

人材育成計画における「育成計画書」の重要性

育成計画書を作成する大きな利点は、「育成する側・される側」の双方に人材育成計画を共有できるという点です。

人材育成の目的や手段など、双方の目線を合わせることによって「何のために行うか」を理解でき、人材育成がより効果的になります。

育成計画書には様々なテンプレートがありますが、基本的には「5W1H(いつ・誰に・何を・なぜ・どのように)」が整理された計画書が望ましいでしょう。

また、作成した育成計画書を定期的に確認することで進捗も確認できるため、人材育成のPDCAサイクルをスムーズに回せます。

育成計画を立てることで新人教育もスムーズになる

新人教育には、新人が会社の文化や仕事の流れを理解し、早期に戦力化するために必要な知識やスキルを習得することが重要です。

しかし、計画性のない新人教育では、何を学ぶべきか、どのように学ぶべきかが明確になっていないため、必要とされる知識やスキルを習得できず、苦労することになります。

新人教育の育成計画を立てる際は、教育後の現場で活躍できるような人材育成を意識して設計すると新人教育がスムーズになるでしょう。

また、ビジネスマナーや会社の方針など、社会人や社員として必要とされる基礎を新人教育の育成計画に組み込めば、早い段階で現場から知識やスキルを吸収できます。

自走できる人材が、より短期間で育成できるでしょう。

人材育成計画書がダウンロードできるおすすめサイト

本章では、人材育成計画書や人材育成に有効な評価シートがダウンロードできるおすすめのサイトを紹介します。

  • 人材育成計画書|株式会社HRビジョン
  • 職業能力評価シート|厚生労働省

上記のサイトを活用して、より良い人材育成計画にしていきましょう。

人材育成計画|株式会社HRビジョン

株式会社HRビジョンが運営するWEBサイト「日本の人事部」では、人事に関するレポートや管理フォーマットシートが掲載されています。

サイト内には、育成計画書のテンプレートが掲載されており、ダウンロードして活用できます。

掲載されている育成計画書には、育成後のイメージや育成担当者の欄があるだけでなく、育成項目や必要スキル、現状評価などの項目が一目で分かるようになっており、非常に利用しやすいテンプレートになっています。

参考:株式会社HRビジョン

職業能力評価シート|厚生労働省

厚生労働省が提供する「職業能力評価シート」は人材育成計画書の作成に有効な評価シートです。

事務系職の職種だけでなく16業種についてカスタマイズの参考になるよう整備されています。

能力レベルに合わせた評価シートで、自分(あるいは部下)の現状の能力レベルを可視化でき、次のレベルに上がるには何が不足しているかを具体的に把握できます。

参考:厚生労働省

自治体や会社の人材育成(方針)例

最後に、自治体や会社の人材育成(方針)の具体例について解説します。

  • 東京都立川市
  • 株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
  • 株式会社日立製作所

それぞれ詳しく解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

「目指すべき職員像」を明確にし育成を図る|東京都立川市

立川市

東京都市川市は「自信と誇りを持って、自ら考え、市民の立場に立って、凛として行動する職員」を基本に以下の3つも兼ね備えた「目指すべき職員像」を提示しました。

  1. 基本姿勢|多様な主体とともに考え、協働によるまちづくりを進める職員
  2. 都市経営の視点|経営的な感覚を持ち、効率的・効果的な行政運営を行う職員
  3. 将来的な視点|長期的視点に立ち、広い視野で総合的に判断・行動する職員

令和2(2020)年度〜令和6(2024)年度にかけて人材育成実施計画を実施。

人事部門と関連部署の連携によって、計画内で取り組む事項の進捗把握や改善などを行っています。

また、職員に対するアンケートも実施することで、全職員の意見や評価を吸い上げ、取り組みの改善に反映させています。

参考:東京都立川市

マネジメントやグループによる育成で次世代経営人材の創出を目指す|株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

ポーラ

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスは国内外で化粧品や健康食品を販売している化粧品メーカーです。

ポーラ・オルビスホールディングスでは、次世代経営人材の育成をするために事業会社を超えてグループによる育成を行っています。

これは多様な経験や世界の市場に対して多角的な視点をもった人材育成を目指しているためです。

また、若手層・中堅層・管理職層・役員層毎にグループワークなどの能力開発も行い、グループ全体で人材育成に取り組んでいます。

参考:総務省

「人材マネジメント統合プラットフォーム」の導入で人材育成における課題を解決する|株式会社日立製作所

日立製作所

株式会社日立製作所は、日立グループとして導入した人材マネジメント統合プラットフォームを使って、人材情報の見える化や人材関連業務の効率化、一人称意識醸成による風土改革を目指しました。

プラットフォーム上では、社員本人が自分の職務経歴やスキルなどを登録し、社員間でその情報を閲覧できます。

ロールモデルとなる社員のキャリアを参考にすることも可能で、自律的なキャリア形成支援にも繋がっています。

参考:総務省

まとめ

本記事では人材育成計画について、作成に必要なスキルや計画の立て方などを解説してきました。

人材の育成は、短期的に成果が得られるものではないため、あせらず中長期的な視点をもって計画することが重要です。

そして、いざ実際に人材育成計画を作成するには様々なスキルが必要になることも詳しく説明しました。

人材育成位計画作成する際は、ぜひ、本記事を参考にしていただければ幸いです。

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