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IT戦略の進め方と全体像を担当者目線でわかりやすく解説
IT戦略を進めたいと思っていても、全体像がイメージできずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事ではIT戦略の立案を担当する方々に対して、どうすれば企業がITシステムを効果的に活用した経営ができるか、という観点でIT戦略の全体像を解説します。
この記事を読むとIT戦略の全体像がわかり、自社のIT戦略策定をスムーズに進めるためのポイントが理解できます。
ぜひ参考にしてください。
IT戦略とは|経営にITを活用すること
IT戦略とは、IT技術を企業経営にどう活用するか考える戦略のことです。
IT戦略ではITを単なる業務ツールと捉えるのではなく、経営目標を達成させるためにITを活用するという考え方が重要になります。
ITツールの効果的な活用には、下記のようなさまざまな視点から戦略を立てることが求められます。
- 目標から逆算して戦略を立てる
- 効果の大きいところに導入する
- 中長期的な視点でITツールを活用する
デジタル化が進行した現代では、意思決定のスピードや環境の変化に対応するためにもITツールを効果的に活用した戦略が不可欠です。
IT戦略が進まない理由
IT戦略がうまく進まない理由の代表例として、以下のような理由があります。
- システムを導入するまでの流れ(全体像)がわからない
- 情報システム部門、IT担当のリソースが足りない
- アナログな業務を改善したいがやり方がわからない
IT戦略とは本来、企業のビジョンや方向に沿うよう綿密な設計のもとに行わなければなりません。
リソースが不足し全体像も描けていない、具体的な改善方法もわからない状況では、単なるITツールの導入に終わってしまい期待していた成果をあげることは難しいでしょう。
まずはIT戦略の進め方の全体像を理解することで、自社のビジョンと連動したIT戦略を策定することにつながります。
外部に委託する場合でも、流れを理解して自分たちでコントロールする必要があります。
本記事の解説を読んで、IT戦略の進め方の全体像を理解しておきましょう。
IT戦略の進め方を6ステップで紹介
IT戦略の進め方は次の6ステップです。
1.中長期的なビジョンの設定
まず自社の将来的なビジョンや目標を設定します。
ビジョンが曖昧だと手段が先行してITツールの導入がゴールになってしまうため、ITの導入はあくまでビジョンを実現するための手段と捉えましょう。
ITツールを活用して達成したい目標を具体的な数値で表せると、効果の検証や目標への進捗も定量的に評価・分析できます。
IT戦略の策定は経営層や、情報システム部門などさまざまな役割を持つ担当者の話し合いのもと行い、関係者間で目的を共有して進めることが重要です。
2.現状・課題の分析
現状を分析し、問題と課題を抽出していきます。
問題と課題の違いは下記のとおりです。
- 問題:あるべき姿(目標)と現状との間にあるギャップ
- 課題:あるべき姿(目標)と現状とのギャップを埋めるためにやるべきこと
=「問題」を解消するためにやるべきこと
まずは現状を把握するために自社の業務内容とプロセス、ITツールの運用状況を洗い出しましょう。
従業員へのヒアリングも交えて属人化している業務はないか、管理が重複している情報はないか、ITツールが活用しきれていない部分はないかなどを確認します。
そのうえであるべき姿とのギャップを確認し、解決すべき問題を抽出します。
あるべき姿から見て現状不足している部分は何か、改善の余地がある部分はどこか整理しましょう。
ギャップが明確になるとそれを埋めるためにやるべき課題も具体的になり、次のアクションへつながります。
問題を解消するための必要なことが一つとは限らないため、まずは考えられる課題をすべて洗い出し、その中から優先度を決めて実行していくことが大切です。
3.課題の解決策の立案
このステップでやるべきことは課題解決のための中長期的なロードマップの策定と、アクションの具体化です。
ロードマップの策定では、設定したビジョン・目標を達成するために、数ヶ月から年単位で実現することを決定します。
ロードマップが策定できたら、直近にやることをいつ、誰が、何を、どのように行うかという具体的なアクションに落とし込んでいきます。
このステップでは課題の解決策と解決の具体的な手段を扱うシーンが増えるでしょう。
部分的な議論が活発になった場合は、なぜそれに取り組むのかという目的に立ち返り、俯瞰的な視点で考えることが重要になります。
ある課題に対して、ほかに有効な解決策はないか、複数の課題に有効な解決策はないかを確認していくことで、網羅性の高い解決策を導入できます。
有効な解決策の導入のために深いレベルの議論が必要です。
下記の記事で、特定の業務課題を解決する例として、ITツールの活用により会議を効率化した事例を紹介しています。
事例を見ることで、解決策を立案する流れがイメージがしやすくなるため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:会議の効率化に成功した事例10選!効率的な会議についても解説
4.システム・ベンダーの比較・検討
前のステップで決めた解決策を実現するためのシステムやツールを選定します。
同時にシステムの導入を自社で行うか外部ベンダーに依頼するかも検討すると良いでしょう。
また、導入の前に導入費用とランニングコストを計算し、導入効果と比較して費用対効果を算出します。
算出した費用対効果をもとに導入の意思決定を行います。
導入効果の中には、たとえば顧客満足度のように定量的な測定に適していないものもあるでしょう。
そういった場合はステップ1で設定した中長期的なビジョンの達成と連動しているかを検証することが重要です。
5.システム導入
課題解決に適したツールを導入します。
導入に際してはシステムを使用する従業員向けにデモや研修を行うなど、スムーズに利用できるような施策を行いましょう。
業務フローやシステムの操作マニュアルの作成も含め、従業員がシステムを使いこなして業務にしっかりと活用できるための対策を行うことが大切です。
外部のベンダーに外注する場合、ベンダーへの依存度が高まると他のサービスへの移行が困難になり、IT戦略の選択肢を狭める原因になります。
ベンダー任せにせずに自分たちが主体となって目標達成のために導くことが重要です。
6.効果検証
システム導入の効果検証は、IT戦略の評価を分ける重要なポイントです。
生産性の向上やコスト削減、売上の増加などの効果を検証し、初期に設定した目標を達成できているかを評価します。
比較した結果から目標を達成できなかった原因や成功した要因などを分析し、次のアクションにつなげていきます。
従業員にヒアリングを行い、システム導入による具体的な変化や改善点などの数字にあらわれない効果を確認することも大切です。
ITシステム導入によって蓄積したノウハウやデータを、今後のIT戦略のブラッシュアップにも活用していきましょう。
まとめ
IT戦略は適切なステップを踏むことで、業務効率化はもちろん単なるITツールの導入にとどまらないさまざまなメリットを企業にもたらします。
IT戦略の進め方6ステップは次のとおりです。
- 中長期的なビジョンの設定
- 現状・課題の分析
- 課題の解決策の立案
- システム・ベンダーの比較・検討
- システム導入
- 効果検証
効果的なIT戦略を実現するには、ITツールを中長期のビジョンを達成するための手段として活用し、俯瞰的な視点で運用できる体制が不可欠です。
IT戦略の進め方にお困りの場合は、弊社のコンサルティングサービスの利用をご検討ください。
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