業務効率化
業務効率化に成功した事例6選!効率化のメリットやアイデアも紹介
総務省統計局に公表されているデータによると、生産活動の中核を担う15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」は、1995年の8,726万人をピークに減少し続け、2050年には5,275万人になると推計されています。
生産年齢人口の減少は、国内の労働力不足や需要縮小による経済力の低下を招き、国力の低下につながります。
業界によっては、2024年4月からの「36協定」における時間外労働の上限規制により、需要はあるものの労働力不足が深刻化するケースがでてくるかもしれません。
今後、懸念される労働力不足を解決するには、既存業務に充てる時間および人員を削減していく必要があります。
すなわち、業務の効率化です。
そこで本記事では、業務効率化がもたらすメリットをはじめ、成功した事例やアイデアについて紹介します。
参考:第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~|総務省
業務効率化がもたらす3つのメリット
業務の効率化には、以下の3つのようなメリットがあります。
- 生産性が向上する
- ワークライフバランスを向上させる
- ランニングコストを減らせる
それぞれ詳しく紹介します。
労働生産性が向上する
業務を効率化することによって、労働生産性が向上します。
労働生産性とは、従業員1人の1時間あたりの生産性のことです。
業務を効率化することによって従業員は、より短い時間で業務を処理し付加価値の高いアウトプットができるでしょう。
企業を構成する従業員の1時間あたりの生産性が向上すれば企業全体に波及し、ひいては売上の増加にもつながります。
ワークライフバランスを向上させる
業務を効率化することによって、従業員のワークライフバランスの向上につながります。
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートの両方を充実させる働き方・生き方を意味します。
2019年4月に働き方改革関連法が施行されて以降、より働きやすく充実した生活が送れるよう労働環境や雇用環境は変化してきました。
業務を効率化することによって、就業時間内でより多くの成果を出せるだけでなく、残業や休日出勤を抑制できます。
プライベートに充てる時間が増えることにより従業員のモチベーションが向上し、離職率の低下にも寄与するでしょう。
ランニングコストを減らせる
業務の効率化は主に、業務フローや情報管理を効率化させるツールの導入によって図られます。
導入にはコストが伴いますが、一つの業務に割く人員や紙などの消耗品を削減できるため、人件費や消耗品費などのランニングコストを減らせます。
業務効率化に成功した事例6選
業務の効率化に成功した事例6選をご紹介します。
- ヨネックス株式会社
- きずな綜合会計事務所
- 株式会社カクヤス
- 東日本電信電話株式会社
- 株式会社電力サポート中国
- アルバック・クライオ株式会社
今回紹介する業務効率化の事例は、業界や業種は様々ですが、どのような企業でも取り入れられる要素が詰まっています。
ぜひ参考にしてください。
ワークフローのデジタル化により作業工数とコストを削減|ヨネックス株式会社
引用:ヨネックス株式会社
大手スポーツブランドの「ヨネックス株式会社」は、ワークフローをデジタル化することにより、3割以上の工数と数百万のコストを削減しました。
これまでは、決裁直前の稟議書と報告書が適切な承認プロセスを経ているかの確認に多くの時間を要していました。
そこで、部門間を横断し承認ルートを簡略化させるデジタルツールを駆使して、複雑なワークフローの円滑化を実施。
結果的に申請ルートは5分の1に整理され、紙の報告書は7分の1まで削減されました。
参考:複雑なワークフローを、現場主導のデジタライゼーションによって工数3割削減|SmartDB
情報の蓄積とタスク管理を一括管理|きずな綜合会計事務所
引用:きずな綜合会計事務所
中小企業様を中心に税務関連サービスを提供している「きずな綜合会計事務所」は、チームの情報共有とタスク管理を一括にできるツールを導入し、業務の効率化を成功させました。
これまでは、150を超えるクライアントとのミーティング議事録やチームのタスクを管理する方法がなく、蓄積されている情報へのアクセスが悪いという問題がありました。
そこで、議事録の情報とタスク管理を一括管理できるツールの導入により、複雑だった管理が簡略化され、効率よく欲しい情報にアクセスできるようになりました。
今では事務所の管理システムの基盤となっています。
参考:「会計事務所内の『情報ストック』と『タスク管理』が、 すべてStock(ストック)上で完結しています」|Stock
打刻漏れや勤怠エラーなどの勤怠管理者の負担を軽減|株式会社カクヤス
引用:株式会社カクヤス
東京都23区を中心に酒類の販売を行う「株式会社カクヤス」は、カスタマイズできる勤怠管理システムの導入により、以前のシステムと比較して保守コストを2割削減しました。
変形労働制である当社の課題であった「打刻漏れ」や「勤怠エラー」に対応できるシステムの導入により、勤怠管理者の負担を軽減。
また、従業員の有給休暇取得などにも管理が行き届くため、法令遵守の面でも役に立っています。
参考:大規模企業の勤怠管理課題をカスタマイズなしで解決! 小売業界の悩み解消の一手は「アラート機能」|Time&Air AMANO
テレワークやWEB会議の導入で無駄な時間を削減|東日本電信電話株式会社
引用:東日本電信電話株式会社
東日本電信電話株式会社グループは従業員の「ワーク・ライフ・バランス」実現のために、働き方改革を進めてきました。
主な取組内容は以下の3つです。
- 勤務時間の効率的な活用と柔軟な働き方
- 目的意識と集中力を高めるメリハリのある働き方
- 仕事への意欲と活力を高める積極的な休暇取得
トライアルとして平成25年から一部の社員を対象にモバイルワーク、在宅勤務の活用やWEB会議の導入を行うことで業務効率化を推進しました。
その結果、在宅勤務を実施した8割の従業員が職場と同程度の効率で働けたと回答しています。
働き方改革の導入後は、導入前と比較し時間外労働が13%減少し、ワーク・ライフ・バランスの実現に好意的な意見がみられました。
参考:取組事例 |厚生労働省
顧客情報と業務進捗を一括管理|株式会社電力サポート中国
引用:株式会社電力サポート中国
中国地域の電力ネットワーク事業に関連する業務や発電所用器材などの販売を行っている「株式会社電力サポート中国」は、新規事業にあたって顧客情報と申込みから請求までを一括管理できるツールを導入し業務の効率化を図りました。
新規事業の立ち上げにあたり、複数拠点での申込みに対する個別対応の集約化、電話対応から発注までのワークフローなどの課題がありました。
ツール導入後は、顧客情報と進捗情報を紐付けた管理・共有でき、さらには不特定多数の顧客情報、申込みから発注、請求までのワークフローの一括管理が行えるようになりました。
参考:導入事例 株式会社電力サポート中国 様|NECソリューションイノベータ
工程管理の改善や会議の時間短縮|アルバック・クライオ株式会社
真空ポンプメーカー「アルバック・クライオ株式会社」は、案件の工程管理や進捗共有できるツールを使い進捗が滞っている案件の可視化や会議時間の短縮を実現しました。
これまで、新規受注した案件の管理はオフラインで行っており、進捗状況の確認や個々が抱えている業務量などの把握が困難でした。
加えて、会議では事前に情報が共有されておらず2時間もの時間を要していました。
ツール導入後はプロジェクトに関する全ての情報が一括管理されたことで、プロジェクトの業務内容や進捗が共有、可視化され、作業の優先順位を決めたり改善すべき業務を洗い出したりできるようになりました。
会議時間も1時間に改善され、効率化が図られています。
業務の効率化を図るアイデア3選
業務の効率化を図るアイデアは、業種や業界によって異なります。
本章では上記で紹介した6つの成功事例から、共通する業務効率化のアイデアを抜粋しました。
具体的には以下の3つです。
- デスクワークの効率化
- 社内ナレッジの共有
- 顧客情報と業務進捗の一括管理
それぞれ、詳しく解説します。
デスクワークの効率化
業務の効率化を図ることと、デスクワークの効率化は密接につながっています。
単純な入力作業や進捗会議での報告書作成などの業務は、ほとんどデスクワークであり、マクロでの自動入力や進捗管理ツールの導入などで効率化が図れます。
特に進捗管理については、オンライン上で管理することによって関わる従業員に最新の情報が行き渡るため、一から進捗共有の資料作成をする手間も省けるでしょう。
また、押印によるデスク上での事務的な承認フローも、ワークフローをデジタル化することによって改善されます。
社内のナレッジ共有
社内のナレッジを共有・蓄積することでより短時間で従業員のスキル向上が可能です。
人材の入れ替わりやジョブローテーションが激しい現代においては、短い時間で従業員を育成し戦力として活用させることが重要です。
社内ナレッジの共有は、これまで培ってきたノウハウを多くの従業員に共有することであり、従業員間スキルの差を埋め社内全体の業務効率化につながります。
そのため、社内のナレッジを円滑に共有するというのも効率化を図るアイデアの一つです。
顧客情報と業務進捗の一括管理
顧客情報に紐づく業務進捗を一括に管理することによって、適切な次回アプローチを行うことができます。
また、これらの情報を一元管理することによって顧客情報や進捗を管理者以外にも共有することができ、会議ではより質の高いアウトプットが期待できるでしょう。
顧客情報や業務進捗の共有に必要以上の時間や手間がかかっている場合に、ぜひ、このアイデアを取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、業務効率化の成功事例を中心に、効率化がもたらすメリットやアイデアについて解説しました。
国内の人口動態予測を鑑みると、あらゆる企業において業務効率化は重要な課題です。
特に、従業員のワーク・ライフ・バランスを実現させる労働環境をつくるには、勤怠管理や会議体をはじめ企業全体として抜本的な改革が必要かもしれません。
業務の効率化はその一助であり、改革の足掛かりとなることでしょう。
ぜひ、紹介した成功事例などを参考にしていただければと思います。