SAP

ERPとは?SAP ERP導入のメリット・デメリットと成功事例を解説

SHARE
Digital Library Digital Library Digital Library Digital Library

ERPとは?SAP ERP導入のメリット・デメリットと成功事例を解説

SAP ERPは企業の統合管理において重要な役割を果たし、データの一元化と効率化を通じて企業のDX実現を支援します。

ただし、導入にはコストと時間を要する点に注意が必要です。

この記事では成功事例を交えて、SAP ERPの導入に必要な情報について解説します。

ERPとは?SAP ERPとその構成

ERPとは一般的な概念で、企業の業務プロセスを統合するシステムの総称です。

一方、SAP ERPはSAP社が提供するERPシステムで、特に高度な機能と統合性を持つ具体的なソリューションと言えます。

ここでは、それぞれの特徴についてご説明します。

ERPとは

ERPは企業全体の業務プロセスを統合し、効率的に管理するためのシステムの総称です。

財務/会計・人事・サプライチェーン管理・製造・販売・在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを一元化して管理できます。

ERPを導入することで、業務プロセスの効率化・情報の可視化・コスト削減・意思決定の迅速化などが期待できます。

基幹システムの詳細については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:基幹システムとは?ERPや業務システムとの違い、メリットや導入の流れ

SAP ERPとは

SAP ERPは、ドイツのソフトウェア会社SAPが提供するERPシステムであり、ERP市場で最も有名で広く使用されているソフトウェアの一つです。

企業の業務プロセスを統合し、効率的に管理するための高度な機能を備えています。

各業務分野はモジュールと呼ばれる単位に分かれており、データの一貫性とリアルタイム性を確保します。

グローバル対応として多言語、多通貨、各国の法規制にも対応が可能です。

SAP ERPのモジュール

SAP ERPのモジュールはニーズに合わせて選択できるので、必要なモジュールのみ導入することで初期投資や運用コストを抑える効果があります。

また、企業の成長に合わせてモジュールを追加することで、業務プロセスの最適化も期待できます。

共通モジュールは以下の通りです。

  • 経理・財務
  • 人事管理
  • 調達・購買
  • 販売
  • 製造
  • ロジスティクス・サプライチェーン管理
  • サービス
  • 研究開発・エンジニアリング
  • 設備資産管理

SAPモジュールに関する詳しい解説は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:SAPモジュールとは?主要なモジュールの機能と関連性を解説

SAP ERP導入のメリット|ビジネスプロセスのアップデート

SAP ERPを導入するメリット

SAP ERP導入のメリットは、目まぐるしく変わるビジネス環境や市場の変化に対応するために、ビジネスプロセスをアップデートできることです。

1.データ品質の担保と一元管理ができる

SAP ERP導入により、セキュリティ上のリスク管理が強化されます。

ユーザごとにアクセス制限を設け、作業履歴を記録することで、データ改ざんの追跡や内部統制の強化が可能です。

さらに、データの一元管理とビッグデータとの連携により、経験や勘に頼らない標準化された経営体系を構築でき、最適な業務運営が実現します。

2.迅速な意思決定ができる

SAPを導入することで、リアルタイムの情報共有とデータの一元化が実現可能です。

これにより、現場からの生きたデータを即座に分析し、どの事業に投資すべきか、どの事業を見直すべきかを迅速に判断できます。

経営陣は迅速かつ正確な意思決定やリアルタイムでの経営判断が可能になります。

3.作業効率が改善できる

SAP ERPは、各部門のデータを一元管理することで、度重なる入力を減らし、データの不一致を防ぎます。

これにより、生産性が向上し、販売管理と生産管理のデータを共有することで生産計画の精度も向上します。

詳しくは、SAPのモジュールについて解説している以下の記事を参考にしてください。

関連記事:基幹システムにSAPを導入する意味は?5つのメリットを徹底解説

SAP ERP導入で考慮すべき点

SAPの導入にはさまざまなメリットがある一方で、考慮すべき点もあります。

導入時に考慮すべき3つのポイントをご紹介します。

  • まとまった導入費用が必要
  • プロジェクト期間は半年以上を想定する
  • 専任者が必要

まとまった導入費用が必要

SAP ERPの導入費用は高額になる場合があります。

初期費用に加えてソフトウェアのライセンス料、サーバ費用、システム構築費用がかかります。

付加機能を追加する場合はさらに開発費用が必要です。

SAPのライセンス費用は従量課金制であり、ユーザ数が多いほど費用が増加するため、システム利用者の数を増やし過ぎると費用増の要因となります。

プロジェクト期間は半年以上を想定する

SAP ERPは幅広い業種に対応する豊富な機能を提供していますが、その複雑な機能や設定のため、最低でも導入に半年以上はかかると想定したほうがいいでしょう。

SAP Communityのブログによると、1つのプロジェクトに約6年かかることもあるようです。

参考記事:プロジェクト期間短縮のためのTips – SAP Community 

計画立案から導入までには大まかに7つもの工程があり、実施項目が多い点もプロジェクトが長期化する要因と言えるでしょう。

  1. 導入を支援するソフトウェア/サービスパートナーの選定
  2. プロジェクトの全タスクのリストアップ
  3. 作業時間の算出
  4. 現実的なスケジュールの作成
  5. カンファレンスルームパイロットの実施
  6. データクレンジング
  7. 全員への定期的な情報提供

参考記事:ERP 導入ベストプラクティス | SAP 

プロジェクト期間を短縮するには、明確な期限設定とその期限に対する理由付けを行い、リーダー層だけでなくメンバーも含めて期限に対する共通認識を持つことが大事です。

プロジェクト全体に「期日通りにプロジェクトを完了させるにはどうすればいいか?」という意識が浸透することで、想定される問題を事前に洗い出し回避する、といった動きが見られるようになります。

専任者が必要

SAPは業務効率化に効果的なシステムですが、導入するだけで業務が効率化されるわけではありません。

事前に必要な知識を身につけ、システムを適切に運用する必要があります。

以下は、SAPを活用するために必要な主な知識です。

  • SAP ERPの基礎知識
  • 各モジュールの知識
  • ABAP(SAPシステムを構成するプログラミング言語)

上記の知識を持ち、SAPを正しく理解し適切に扱える人材を確保するためにも、SAP認定資格を所有しているかどうかが一つの判断基準となるでしょう。

SAPには、SAP S/4HANA Cloud Public EditionやSAP S/4HANA Cloud Private Edition等に関する豊富な資格があり、それぞれの認定資格を取得するための学習コースも公式サイトにて用意されています。

人材育成が必要な場合はこちらの学習コースも利用すると良いでしょう。

参考記事:SAP Training 

2025年/2027年問題|SAP ECC 6.0以前のバージョン利用企業は注意

2027年問題は、SAP ERPの主力製品「SAP ERP」が2027年にメインストリームサポートを終了することに関連しています。

もともとは2025年が終了期限でした。

しかし欧州SAPが2020年2月に「SAP ERP 6.0のサポートを2027年末まで延長する」と発表し、「2027年問題」となりました。

SAPは、SAP ECCから新しいSAP S/4HANAへの移行を推奨しています。

SAP ERP(SAP S/4HANA Cloud )導入成功事例

SAP ERP(SAP S/4HANA Cloud )を導入することで、さまざまな企業が自社の課題を解決しています。

ここでは2つの企業の事例をご紹介します。

  • TOPPAN ホールディングス
  • 味の素グループ

TOPPAN ホールディングス

TOPPANホールディングスは、SAPソリューションの導入により、経営情報の一元化で迅速な意思決定を実現しました。

SAP Business Technology Platform(SAP BTP)を活用し、業務生産性が2倍以上向上した実績があります。

ホールディングス制への移行とともに、全体の経営資源を効率的に管理し、持続可能なデジタル変革を推進しています。

この取り組みにより、TOPPANグループは、DXとSXの両面で社会課題に取り組むリーディングカンパニーとしての地位を確立しているのです。

味の素グループ

タイ味の素社は、味の素グループのASEAN地域拠点です。

同社は、SAP S/4HANAとともに予算管理およびBIソリューションのSAP Analytics Cloud、データ管理のSAP Datasphereを導入しました。

この取り組みにより、月次業績見込みとレポーティング業務の工数が約20%削減され、クラウド化による運用コストも約40%の削減に成功。

データに基づく迅速な意思決定が可能となり、競争力を強化しています。

SAPの導入例については、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。

関連記事:SAPの導入企業事例10選(日本・世界)費用・導入失敗理由も紹介

SAP ERPでDXを加速する

SAP ERPは企業の統合管理において重要な役割を果たし、データの一元化と効率化を通じてDX実現を支援します。

多くの企業が各業務分野に応じたモジュールを導入し、セキュリティ強化や迅速な意思決定、業務効率化によって、生産性向上と経費削減を実現しています。

しかし、要件定義が曖昧なままの導入は成果に直結しない可能性が高いです。

自社のDXを推進したいが何から始めればいいのかわからない、SAP ERPの導入を考えているが成果に繋がるか不安、といった点でお困りの場合は、まずは弊社までご相談ください。


お問い合わせはこちら










    ※記入項目はお間違いのないようご注意ください

    SHARE
    Digital Library Digital Library Digital Library Digital Library
    お問い合わせ