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ERPとAIの相関は?AI搭載型ERPのメリット、注意点を詳しく解説
企業の基幹業務を効率的に行うERPにAIを搭載したAI搭載型ERPが、業務効率化やDXを進める多くの企業から注目が集まっています。
この記事では、AI搭載型ERPの導入をご検討の方々に対して、AI搭載型ERPの概要やメリット、導入する際の注意点を解説します。
ERPとAIの関係|ERPで蓄積したデータをAIで効率的に活用可能
AI搭載型ERPはERPで蓄積したデータをAIで効率的に分析し、下記のような業務に役立てることができます。
- 需要予測の精度向上
- 顧客行動の分析とパーソナライズ
- 異常検知と迅速な対応
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ERPの概要
ERP(Enterprise Resources Planning:企業資源計画)とは基幹的業務の統合と経営資源の一元管理により効率的な運用を可能にするシステムです。
業務効率化によるコスト削減や経営資源の一元管理による迅速な意思決定を促進し、企業の競争力を高めます。
ERPは1990年ごろに登場し、現在では手軽な利用から始められるクラウド型も主流になっています。
そして一元管理のためにあらゆる情報を蓄積するERPと、膨大なデータを学習して活用するAIの親和性から、両者の融合に期待が集まっています。
関連記事:ERPとは?システムの選び方から導入の流れ、ERP成功事例も紹介
ERPとAIの融合により期待されること
AI技術を利用したERPの活用により、下記の業務での利用が期待されます。
- 日々のルーティン業務
- データ集計・分析業務
- リスク管理(不正の検知・予防)
AIの自動化により、業務の手間が減るだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも最小限に止めることが可能です。
またERPによって蓄積した大量のデータをAIが学習することにより、高精度な需要予測、データを根拠にした再現性のある意思決定、ビジネスプロセス上の不正検知なども可能になると予想されています。
ERPに変化をもたらすAI技術
ERPに革新をもたらすAIのコア技術は次の2つです。
- 機械学習
- 自然言語処理
機械学習
機械学習とはコンピュータに膨大なデータを学習させ、算出されるパターンから未知のデータに対する予測を行う技術です。
システム上で入力する項目の提案や自動入力に活用されています。
また機械学習をさらに応用した、ディープラーニング(深層学習)という技術にも注目が集まっています。
ディープラーニングでは脳の神経回路網を模したニューラルネットワーク技術によって、大量のデータから特徴を自動的に学習することで、より複雑なタスクの実行が可能になりました。
画像認識や音声認識など、高度な処理が可能です。
自然言語処理
自然言語処理とは人間が使用する言語を理解し、正しい処理や応答を行う技術です。
自然言語処理技術が高精度化したAIは人間の話し言葉や指示を適切に理解できるようになるため、双方向のスムーズなやりとりが可能になるのです。
自然言語処理は、音声アシスタント、チャットボット、自動翻訳などのアプリケーションで活用されており、今後も進化が期待されています。
AI搭載型ERPのメリット|AIを用いた高度な分析が可能になる
AI搭載型ERPのメリットは次の4つです。
- 高精度な需要予測
- データドリブンな意思決定
- 業務プロセスの効率化/最適化
- コスト削減
高精度な需要予測
AIにERPで蓄積した大量のデータを学習・分析させることで、需要予測の正確性が向上します。
過去の販売実績から購入時間・季節など様々な条件ごとに分けた需要を、人の手で処理するよりもはるかに早く行うことができます。
予測した需要を販売戦略や生産スケジュールに反映することで、関連する業務も効率化することが可能です。
データドリブンな意思決定
AIが処理した膨大なデータから、根拠のある意思決定が可能です。
高速な処理によってリアルタイムに分析できるため、経営層の迅速な意思決定にも寄与します。
具体的には、蓄積した会計データから予算や投資資金の最適な配分に役立てることができるでしょう。
また分析したデータから企業の潜在的なリスクを検出し、事前に予防策を提案してくれます。
人間では検出できないリスクを発見できるため、ビジネスリスクの軽減にも役立つでしょう。
業務プロセスの効率化/最適化
AIは処理したデータから最適な解決策や答えを導き出すため、業務のムダやムラを省き効率化・最適化を実現します。
たとえば学習した過去データから需要を予測し、適切な在庫量を人の手を使わずに調整するといった活用も可能です。
調整した在庫情報はERPを通じて経理などのバックオフィス業務にも連携でき、一連の業務を最適化できます。
コスト削減
AIによって単純作業や入力作業などを代替できるため、作業業務の負担や人件費などのコストを削減できます。
また需要予測や在庫管理の最適化することによって過剰な在庫や欠品を防ぐことが可能です。
他にも経費の監査も自動で行えるため、不正防止や財源の適切な使用を監視するコストも低減できます。
AI搭載型ERPの注意点|扱う人にもスキルが求められる
AI搭載型ERPを使用する際の注意点は次の2つです。
- データ品質やシステムのアーキテクチャによって精度が異なる
- 従業員が抵抗を示す可能性がある
データ品質やシステムのアーキテクチャによって精度が異なる
AIの情報が必ずしも正しいとは限らないため、AIの分析結果を鵜呑みにしてはいけません。
AIが提示する分析結果や問い合わせに対する回答が間違っている場合もあるため、AIのパフォーマンスに対して人がフィードバックを行い、改善が必要な場合にはAIが参照するデータを改善・更新するプロセス(Human-in-the-loop)を組むことも重要です。
またAIはその特性から、正確な分析やアウトプットを出すには高品質かつ大量のデータをAIに学習させる必要があります。
ここでいう「高品質なデータ」とは、欠損値や誤り等がないデータを指します。
従業員が抵抗を示す可能性がある
AI搭載型のERPは高度な機能を持つ反面、従業員には機能を使いこなすスキルが欠かせません。
新たなシステムの操作にストレスや抵抗を感じる人も少なくないでしょう。
また高機能なAIに職を奪われるのではないかという不安を誘発する可能性もあります。
導入を検討する際は、研修やマニュアルなどの運用サポートや従業員への綿密な説明を行いましょう。
単純作業をAIで効率化することで、従業員は顧客とのコミュニケーションや新規事業の企画開発など、よりクリエイティブな業務に集中できると分かれば、従業員のモチベーションも維持できるでしょう。
SAP Business AI|SAPも生成AI組み込みの動きを見せている
ERPを提供するSAPジャパンは2024年を「ビジネスAI元年」として、クラウドERPをはじめとするクラウド製品に生成AIを組み込み、より経営に役立つ機能を提供できるような施策を講じています。
また弊社でも株式会社エクサウィザーズと協業し、生成AIを活用したDX推進にも取り組んでいます。
AI技術はますます注目を集めていますが、これに限らず、SAPは企業がDXを推進するために活用できる機能が豊富です。
実際に、SAPを導入した企業では、請求書の支払承認プロセスの電子化を可能にしたり、グループ企業各社の人事データを集約して企業戦略に必要な人材の特定をスムーズに行えるようになったりと、成功事例も多くあります。
具体的な導入事例や、導入にかかる費用、失敗理由について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:SAPの導入企業事例10選(日本・世界)費用・導入失敗理由も紹介
AI搭載型ERPで業務効率化を実現しよう
AI搭載型ERPの効果的な活用には、計画の段階で導入〜運用までの全体図を描き、戦略的に実行できる体制が不可欠です。
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