業務効率化
営業のパイプライン管理とは?目的・方法手順・ポイントを解説
営業をマネジメントする手法の一つとして「パイプライン管理」が挙げられます。
パイプライン管理を導入すると、業務の効率改善や適切な目標設定ができるようになるため、業績が大きく向上するかもしれません。
本記事では、パイプライン管理の概要から手順や目的、メリット、デメリットを紹介します。
パイプライン管理を手軽に行うためのツールも紹介するため、事業内容によっては効率化のために使用してみてください。
パイプライン管理とは「営業フローをパイプに見立て可視化するマネジメント手法」
もともと「パイプライン」とは、石油を生産地から消費地へと運搬するパイプを指します。
そこから転じて、ビジネスでは営業活動のフローを指すようになりました。
営業におけるパイプラインは、以下のような項目をつなげて顧客を次の段階へ進めることを指します。
- 初回の商談
- 提案
- 見積
- 稟議
- 受注
目標・現状などの要素を各段階で入力して可視化したものがパイプライン管理です。
【4STEP】パイプライン管理の手順とポイント
ここからは、パイプライン管理を始めるための手順を以下のとおり解説します。
- 営業プロセスを細分化する
- 各段階のゴール・KPIを設定する
- 各段階のゴールから見た現状・進捗を洗い出す
- 営業のボトルネックを分析する
各ステップでのポイントもあわせて解説するので、自社でパイプライン管理を作成する際にお役立てください。
【STEP1】営業プロセスを細分化する
まずは下記の一例のように、自社の業務を洗い出し、営業プロセスを細分化します。
- 初回の商談
- ヒアリング
- 提案
- 見積
- 稟議
- 受注
細分化のポイントは、顧客に対するアクションの切替です。
自社の事業に合わせて「無料のお試し期間」「ヒアリングシートの記載」など、自社特有の項目を盛り込みましょう。
あわせて、各段階の定義を記載すると、営業メンバー同士でのやり取りがスムーズに進行します。
【STEP2】各段階のゴール・KPIを設定する
各段階のゴールは、数値化できる指標を設定することがポイントです。
数値化を行うことで、振り返りの際にゴールとの差を明確にできるためです。
また、組織の目標を達成するために重要な指標(KPI)を記載することで結果が悪かった場合、原因特定に役立ちます。
なおパイプライン管理の目的は「細分化による可視化」であるため、KPIの順序がある場合は、さらなる段階の細分化もおすすめです。
【STEP3】各段階のゴールから見た現状・進捗を洗い出す
営業担当に定期的な更新をしてもらうことで、営業責任者や他の営業メンバーが把握しやすくなります。
現状把握でのポイントは、逐一入力できるような仕組みやシステムを導入することです。
詳しくは後述しますが、入力の手間を省いたり、入力漏れを防いだりするような工夫を行いましょう。
【STEP4】営業のボトルネックを分析する
各段階へ移行する割合が低い箇所を確認することで、課題となる段階を発見できます。
見つかったボトルネックの段階に関しては、KPIや営業メンバーでの原因分析を行い、新たな改善プランを実行することが重要です。
ポイントとして、前月や四半期での期間比較や、営業メンバー同士の比較など、多角的な視点から分析を行います。
パイプライン管理の目的・メリット3選
以下のとおり、パイプライン管理の目的・メリットを紹介します。
- 営業計画・売上予測をより詳細に立てられる
- プロセスごとの改善点を見つけやすくなる
- メンバーの進捗を把握しやすくなる
新規事業のシミュレーションや既存事業の刷新など、自社事業のあらゆる状況でパイプライン管理を取り入れてみてはいかがでしょうか。
営業計画・売上予測をより詳細に立てられる
パイプライン管理は、営業フローを分解して、詳細に可視化する手法です。
営業フローを詳細に可視化することで、工数や必要経費などの数字が見えてくるようになります。
数字をもって根拠のある営業計画を立てられると、売上の見通しをより確実に立てられます。
例えば、新規事業の立ち上げや新たに定められた営業目標を実行する際に用いられる有効なマネジメント手法です。
プロセスごとの改善点を見つけやすくなる
パイプライン管理では、目標に対する現状把握を数字で行います。
数字で明示され達成度合いを確認しやすくなり、また、KPIを確認することでゴールに対して不足している原因の分析を容易に可能です。
例えば、既存事業の営業課でパイプライン管理を行い、今よりもさらに詳細な分析を行う際に活用できます。
メンバーの進捗を把握しやすくなる
パイプライン管理は、メンバーそれぞれの現状を一目で把握可能です。
現場の営業責任者や現場を確認する時間がないような経営層はもちろん、メンバー同士でもお互いに共有しあえるのもメリットです。
「毎週週明けに更新」「週次で報告」など、ルーティーン業務のなかに組み込むことで、進捗がより把握しやすくなります。
パイプライン管理のデメリットと対処法
パイプライン管理を導入する上で、以下のようなデメリットが挙げられます。
- 頻繁な情報共有で入力作業が煩雑になる
- 営業メンバーの入力する工数がかかる
パイプライン管理は定期的な現状把握が肝です。
営業メンバーで入力に関して漏れ・ミスが発生した場合、正確な数字を収集できません。
また、入力工数が増えることで、本来のコア業務である営業活動に支障をきたす可能性もあります。
デメリットには、ツールによる効率化が最適です。
- スマホで外回りの最中でも簡単に入力できるツール
- 自動で記入されるシステム
- 計測や分析の機能があるツール
上記のように、操作を簡易にするツールや自動化するツールだけでなく、分析の面でも役立てられるツールがあります。
パイプライン管理を効率化するためのおすすめツール【テンプレも作れる】
以下のツールを用いることで、パイプライン管理を効率的に進められます。
- Excel・スプレッドシート
- MA:リード獲得までのインサイドセールス
- SFA:リード獲得から受注まで
- CRM:受注から既存顧客へのリピート施策まで
なお、3つのツール「MA」「SFA」「CRM」は厳密には異なるものの、ツールによっては機能が重なっているものもあります。
できれば、営業部が他部署と連携できるように包括的な機能を持っているツールを選定することがおすすめです。
Excel・スプレッドシート
Excelの提供をする企業、Microsoftが配布するテンプレートで、パイプライン管理を実行できます。
上記のテンプレートは、潜在顧客の数を視覚的に把握できるように作られています。
視覚的にわかりやすいため、知識が少ない新人社員でも理解しやすいでしょう。
また、Excelと同じくGoogleの提供する表計算ソフト「Google スプレッドシート」でもテンプレートをもとにパイプライン管理を行えます。
Google スプレッドシートは、Excelではできないリアルタイムでの更新・共有が特徴です。
MAツール
MA(marketing automation)ツールとは、マーケティング自動化ツールのことです。
リード獲得までに特化したMAツールでは、ターゲットの分類や見込み顧客の情報管理など、マーケティング部から営業部への橋渡しに効果的です。
MAツールを使えば、パイプライン管理でも進捗をソフト上で把握できます。
また、対応漏れやボトルネックの箇所を特定する機能があり、分析にも有効なツールです。
MAツールの代表例に『Hubspot』が挙げられます。
SFAツール
SFA(Sales Force Automation)ツールとは、受注前の見込み顧客に対するアプローチに役立つツールです。
営業支援システムと訳されます。
パイプライン管理にSFAを活用することで、Excelで記録する際に課題とされていた入力・共有の手間を解決できます。
売上や各段階での数字を正確に把握でき、パイプライン管理の良さを活かしながら営業の業務効率化が可能です。
SFAの代表例としては『eセールスマネージャーRemix Cloud』があります。
同ツールは、Excelに似た画面で入力内容がリアルタイムで反映されるツールです。
また、自社におけるツールの定着を促すために、導入支援を行っており、新しいシステムの導入につまづく企業でもパイプライン管理を簡単にできます。
CRMツール
CRM(Customer Relationship Management)ツールとは、顧客との関係性を構築するマーケティングツールのことです。
「受注後の顧客をリピーターにするためのマーケティング」とも言われています。
CRMツールを使用することで、新規営業が既存営業へ顧客情報を引き継ぐ際の情報共有がスムーズになります。
代表例は『Salesforce Sales Cloud』です。
同ツールのパイプライン管理では、営業活動の履歴や商談の状況をリアルタイムでの把握が可能です。
顧客ごとに過去の商談や決裁者の情報など、細かな情報を全メンバーに共有できます。
パイプライン管理を用いて自社の生産性を向上させよう
パイプライン管理は、営業フローを工程と数字で可視化して、課題の発見や情報の共有をスムーズにするマネジメント手法です。
自社でパイプライン管理を導入することで、売上や生産性の向上を可能とするかもしれません。
ただし、パイプライン管理には入力作業に工数がかかり、管理が煩雑になるリスクもあります。
パイプライン管理は外出先でも手軽に入力してもらえるよう、システムの導入がおすすめです。