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守りのDXと攻めのDXの違いとは?事例も紹介

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守りのDXと攻めのDXの違いとは?事例も紹介

DXは、「守りのDX」と「攻めのDX」があるといわれており、それぞれ取り組みの目的や難易度が異なります。

効果的にDXを進めるには、守り・攻めの両方を実現させることが大切です。

本記事では、守りのDXと攻めのDXの違いや実践のポイントを解説するとともに、それぞれの事例を紹介します。

守りのDXと攻めのDXの違い

「守りのDX」「攻めのDX」という言葉は、2019年に株式会社NTTデータ経営研究所が発表した「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」で用いられました。

守りのDXと攻めのDXは、以下のような違いがあります。

DXの種類特徴
守りのDX業務効率化などが目的で、成果が得やすく保守的・安定志向
・業務効率化や省力化
・業務プロセスの抜本的な改革
・経営データ可視化によるスピード経営
攻めのDX競争力強化や価値創出に重きを置いており、難易度が高く挑戦的
・既存商品、サービスの高度化
・ビジネスモデル、顧客接点の改革

本項では、守り・攻めのDXの概要を解説します。

守りのDXとは|業務効率化や省力化などを目指すDX

守りのDXは、業務プロセスを見直し、デジタル技術を生かして効率化や省力化を図ることを目的とした安定志向のDXです。

守りのDXは主に、既存業務や企業風土、組織など従来培ってきた分野の改革に重点を置いています。

そのため保守的であり、自社でコントロールしやすく成果を得やすい点が特徴です。

守りのDXを実現するには、クラウドやAI、ICTなどを取り入れたデジタル化が不可欠です。

デジタルツールやソフトウェアの活用により、従来の紙媒体をベースとした情報管理で起こりやすい人為的ミスの防止やセキュリティ強化、コスト削減などが期待できます。

攻めのDXとは|競争力強化や価値創出を目指すDX

攻めのDXは、競争力強化や新たな価値の創出に重点を置いた挑戦的なDXです。

既存商品・サービスの高度化、ビジネスモデルや顧客接点の変革などがあげられ、自社だけでなく顧客や取引先も関連するため、守りのDXと比べると難易度が上がります。

また、攻めのDXは、DXの中核をなす取り組みであり、守りのDXを徹底したうえで戦略の構築に集中できる環境を整えることが大切です。

加えて、時代や社会情勢によって変動する顧客ニーズを正しく分析するスキルや知識も求められます。

守りのDXと攻めのDXの現状

2019年8月に発表された株式会社NTTデータ経営研究所による「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」では、守りのDXに該当する「業務処理の効率化・省力化」に取り組む企業が84.0%という結果でした。

一方で、「ビジネスモデルの抜本的改革」や「顧客接点の抜本的改革」などの攻めのDXは20%台となっています。

また、総務省が発表した「令和3年版情報通信白書」においても、多くの企業が業務効率化を目的としたデジタル化に取り組む一方で、新商品・サービスの開発や新事業への進出には先端技術を生かしきれていない状況が浮き彫りとなりました。

こうした調査結果からも、攻めのDXの進め方に悩む企業が多い現状がわかります。

参考:「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」(株式会社NTTデータ経営研究所)

参考:「令和3年版情報通信白書」(総務省)

関連記事:中小企業のDXはなぜ進まない?解決策を成功事例を交えて解説!

攻めのDXを進めるポイント

攻めのDXをスムーズに進めるには、以下の4つのポイントを押さえることが大切です。

  • 守りのDXを徹底する
  • 分析・改善を続ける
  • 組織体制強化とIT人材育成を図る
  • 新しい技術を導入する

本項では、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

守りのDXを徹底する

攻めのDXは、守りのDXを徹底すると進めやすくなります。

守りのDXにより無駄な作業やコストを削減することで、攻めのDXに集中できるリソースや時間を確保できるためです。

たとえば、既存業務のプロセスを見直した結果を踏まえて、RPAをはじめとするデジタルツールやAI技術を導入すると、自動化や業務効率化の実現につながるでしょう。

これにより、社員を利益の創出に直結する戦略立案や新たなビジネスモデルの開発といった攻めのDX実現に向けた業務に注力させやすくなります。

関連記事:【簡単に】RPAとは?可能な作業やメリットデメリット、導入事例を紹介!

関連記事:RPAで行う業務効率化10選!できることやメリットを導入事例つきで解説

分析・改善を続ける 

攻めのDXの大きな目的は、競合他社にはない優位性の高い製品やサービスの開発による売上の向上です。

そのためには、現状を可視化したデータをもとに具体的な戦略を立てたうえで実行し、必要に応じて改善を続ける必要があります。

単に、システムやツールを取り入れただけでは攻めのDXの実現は期待できません。

データを踏まえて顧客のニーズを細かく分析し、長期的にPDCAを回すことが重要です。

分析と改善を繰り返し実行すると、競合他社と差別化を図りやすくなります。

組織体制強化とIT人材育成を図る

攻めのDXでは、組織体制強化とIT人材育成が重要です。

攻めのDX実現には、的確な意思決定を行う組織体制と、それを実行するスキルを持つIT/DX人材が不可欠なためです。

たとえば、DX化を牽引する専門部署を立ち上げると、円滑に取り組みを進められるでしょう。

部署を超えたコミュニケーションや情報共有には、チャットツールやクラウドサービスの活用がおすすめです。

IT人材育成を図る際は、社員全体がDX自体の必要性を理解したうえで、データ活用やビジネス変革のスキルを習得することが大切です。

DX化が進むとサイバー攻撃や情報漏えいのリスクが高まるため、情報セキュリティに関する知識も求められます。

加えて、DX化やITに関する知識やスキルを持つ人材の確保に向けて、適切な評価制度を設けるほか、多様な働き方に適した環境整備も攻めのDX実現のポイントです。

関連記事:求める人材が育つ人材育成計画の作り方|計画の立て方や計画書のテンプレートも紹介

新しい技術を導入する

攻めのDXは、集積したデータを細かく分析したうえで、新たな商品やサービスを創出する取り組みです。

効率的にデータを活用するには、クラウドサービスやAIなどの新しい技術を導入する必要があります。

デジタルツールやソフトウェアは、守り・攻めを問わずDXの実現に欠かせません。

DX戦略をもとに、コスト面や既存ツールとの互換性などを踏まえて製品を選定しましょう。

製品選定に役立つ考え方として、「Fit&Gap」という分析方法や、「Fit to Standard」というアプローチがあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

関連記事:Fit&Gap(フィット&ギャップ)とは?

関連記事:失敗しないためのFit to Standardの進め方とは?

守りと攻めのDX事例

守りと攻めのDX化事例をそれぞれ1つ紹介します。

  • 守りのDX事例|浜松倉庫株式会社
  • 攻めのDX事例|有限会社ゑびや

守りのDX|基幹システムの刷新により生産性アップ(浜松倉庫株式会社)

浜松倉庫株式会社では、若手管理職が中心となって、生産性向上に向けた業務のあり方を見直す社内プロジェクトを実施しています。

大きな特徴は、持続可能な物流サービスの提供を目指して、2016〜2018年にかけて基幹システムを刷新した点です。

また、社内システムや業務改善に関する研修を集中して行ったほか、DX推進担当者を設けることでDX推進をフォローする体制を構築しました。

その結果、生産性が30.0%、営業利益率が4.5%向上しています。

同社の取り組みは、デジタル技術を活用した業務プロセスの抜本的な改革であり、守りのDXといえるでしょう。

参考:経済産業省「DX Selection 2024」

攻めのDX|来客予測・店舗分析システムにより売れる商品・サービスの開発に成功(有限会社ゑびや)

伊勢市で食堂や土産物販売を営む有限会社ゑびやでは、データの有効活用によって「最も売れる商品・サービス」の開発に取り組み、攻めのDX実現に成功しています。

以前は、業務効率の悪さから社員は休憩も取れない状況でしたが、多様なシステムツールから自社に合うものを選定し、まずは守りのDXに取り組みました。

これにより、業務効率化が図られ、商品開発に時間を割けるようになりました。

その結果、生み出された自社開発のツールが来客予測・店舗分析システム「TOUCH POINT BI」です。

同ツールを商品開発やマーケティングに活用し、年商が1億円から8.5億円に増加しています。

取り組み前後において従業員数がほぼ変わらない中で、売上を8.5倍拡大できたのは、DX化やデータの有効活用が経営の効率化につながったためです。

また、DXの推進にはトップダウンのアプローチが重要であると考え、経営陣が率先してDXツールを活用し、社内全体への浸透を促している点も大きな特徴でしょう。

参考:経済産業省「DX Selection 2024」

DXには「守り」と「攻め」がある

攻めのDXは、守りのDXが徹底されていると進めやすい取り組みです。

まずは、デジタル化により自社の業務効率化や省力化を徹底したうえで、新たな商品やサービスの開発に挑みましょう。

効率よく守りと攻めのDXを進めたい場合は、DXコンサルティングの利用がおすすめです。

ノムラシステムでは、専属のコンサルタントが丁寧にサポートいたします。

DXコンサルティングをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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