DX推進のコストはいくら?費用対効果はどのくらい?

DX推進のコストはいくら?費用対効果はどのくらい?

DXの有効性を理解しつつも、費用対効果が見えないとなかなか導入に踏み切ることはできません。

そのため、DX導入に取り組めていない企業も多いのではないでしょうか。

実際に、日本でDXに取り組んでいる企業の割合は2022年時点で54.2%となっており、68.1%のアメリカとは大きな差が開いています。

参考記事:DX白書2023|IPA 

そこで今回は、DX推進にかかるコストを段階別に整理し、低コストでの導入を実現する方法や費用対効果の算出方法について整理しました。

ぜひDX推進の参考にしてください。

DX推進にかかる段階別のコスト

DX推進のコストはいくら?費用対効果はどのくらい?

DXは企業の競争力を高めるにあたり有効ですが、推進には相応のコストがかかります。

DXの費用対効果を算出するためにも、各段階におけるコスト内容を参考にされてください。

デジタイゼーション|数十万円~数百万円程度

デジタイゼーションにおいては、紙媒体の書類や手書きの情報をデジタルデータに変換するため、スキャナーやOCRソフトの購入費用がかかります。

また、電子化したデータを保存するためのクラウドストレージ費用もかかるでしょう。

もし、OCRなどを用いず人手でデータ入力を行う場合は、その人件費なども考慮する必要があります。

コストは数十万円〜数百万円程度です。

コストコストの種類詳細
数十万円~数百万円程度スキャナーやOCRソフトの購入費用紙文書を電子データに変換するための機器やソフトウェアの購入費用
クラウドストレージ費用電子化されたデータを保管するためのクラウドストレージサービスの費用
データ入力の人件費既存の紙文書を電子化する際の入力作業を行う人件費

デジタライゼーション|数百万円~数千万円程度

デジタライゼーションにおいては、業務プロセスを効率化・自動化するために、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)・顧客管理システム(CRM)、会計システム(ERP)など、技術的に高度なツールの導入が必要です。

その分、費用もデジタイゼーションに比べて高くなります。

コストコストの種類内容
数百万円~数千万円程度RPAツール導入費用定型業務を自動化するRPAツールのライセンス費用・開発費用
業務システム導入費用顧客管理システム(CRM)、会計システム(ERP)など、業務効率化に貢献するシステムの導入費用
IoT・ロボット導入費用肉体労働的な定型業務を自動化するIoT機器やロボットの導入費用

デジタルトランスフォーメーション|数千万円~数億円以上

デジタルトランスフォーメーションにおいては、ビジネスモデルや組織文化を変革するために、新規事業立ち上げ費用やDX人材育成費用など、デジタライゼーションよりも更に大きなコストがかかります。

また、近年ではビジネスモデルを変革するために、既存プロダクトにAIを組み込んだり、新規のAIプロダクトを開発する企業も増えています。

AIをDXに活用する際には、更に多くのコストが必要となります。

コストコストの種類内容
数千万円~数億円以上新規事業立ち上げ費用市場調査、製品開発、マーケティング等の費用
人材育成採用費社員のデジタルリテラシー向上のための研修費用、DX人材の採用費用
AIモデル開発費用学習データ収集、データ基盤構築、AIモデル開発等の費用

DX推進のコスト内訳

DX推進のコスト内訳は大きく分けると以下の3つです。

  • システム導入費
  • システム運用費
  • 人件費

上記のコストはどのようなDX戦略を取るかで大きく異なります。

確保できる予算の中で最大限の成果を出せるよう、コスト内訳を把握しながらDX戦略を考えましょう。

システム導入費

「システム導入」は、DXの根幹を支える重要性の高い手段です。

プロジェクトの規模、開発期間、開発体制によってコストが大きく異なるので、「何のためにDXをするのか?」「本当にシステムを導入する価値はあるか?」を明確にした上で慎重に判断する必要があるでしょう。

またシステム導入費用は、プロジェクト内容だけではなく、導入方法にも影響を受けます。

以下の方法によってコストが大きく変わるので把握しておくといいでしょう。

メリットデメリット
スクラッチ自社の業務に最適なシステムを柔軟に開発できる。既存のパッケージに依存しないため、上手くシステムを構築できればパッケージに依存する他社との競合優位性を獲得できる。要件定義・設計・実装・テスト・運用保守と、パッケージに比べ膨大な工数がかかるため、導入費用が数千万円と高額になる場合がある。
パッケージ短期間でのシステム導入が可能でコストも抑えられる。パッケージ開発会社が運用保守を行うため、管理の手間も無い。フルスクラッチに比べ開発の自由度が低く、競合優位性を作りにくい。カスタマイズ性に限界があるため、導入しても自社のビジネスモデルにマッチせず、成果に繋がらない可能性がある。

システム運用費

スクラッチでシステム導入した場合、安定稼働を維持するための運用費用も発生します。

費用の内訳は、ハードウェア運用保守費用、ソフトウェア運用保守費用、運用担当者の人件費等です。

また、スクラッチでシステム導入する場合でも、クラウド環境にて開発された場合は、ハードウェアを購入する必要がなく、利用状況に応じた従量課金制で柔軟に運用費用を調整できます。

システム導入において、ビジネスモデルに柔軟性を持たせたい場合は、クラウドでの開発を選択するといいでしょう。

人件費

DXを推進するには、システム導入を行うエンジニアやAI/ビックデータを活用するデータサイエンティスト等の専門家だけではなく、UI/UXの設計やプロジェクトマネジメントを担うDX人材も必要です。

DXに用いる選定技術、システムの導入方法、自社のDX成熟度に伴い、人件費も大きく変動するでしょう。

DX推進のコストに影響を与える3要素

DX推進のコストに影響を与えるのは以下の3要素です。

  • 人件費
  • 導入技術
  • 自社のDX成熟度

人件費|DX人材の育成や採用にコストがかかる

日本は、労働力人口(15 歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)が2025年6,000万人、2030年5,683万人、2060年3,795万人と、加速度的に減少し、DXの重要性が増しています。

しかし、DX推進のスキルを持ち、実行できる人材は慢性的に不足している状況です。

そのため、人材育成や採用にかかるコストも多くかかり、今後も継続的なコスト増加が予想されます。

関連記事:求める人材が育つ人材育成計画の作り方|計画の立て方や計画書のテンプレートも紹介 

導入技術|自社開発だとコストが大きくなる

導入技術の種類によってもコストは大きく変わります。

自社開発の場合は、柔軟性の高いシステム構築が可能ですが、開発コストは大きくなる傾向があります。

初期費用を抑えたい場合は、クラウド環境を利用したスクラッチでの開発を行う、パッケージサービスを利用する、といった工夫をするといいでしょう。

自社のDX成熟度|DX成熟度が低いとコストがかかる

自社のDX成熟度が低いほど、DX推進にかかるコストは高くなる傾向があります。

ITインフラの老朽化、既存システムとの連携の複雑さ、IT活用に消極的な組織文化など、ネガティブな要素が多くなるにつれ、DX推進の難易度は上がります

それに比例して、DX推進のコストも増加する可能性が高いでしょう。

DXの費用対効果

DXの費用対効果はビジョン策定、戦略策定の質によって大きく異なります。

もし、DX成熟度が低い、知見を持った人材がいない、という場合はコンサルティング会社と協力しながら推進するといいでしょう。

DXにおける費用対効果の算出方法

DXにおける費用対効果算出の流れは以下の通りです。

  • ビジョン策定:DX導入により実現したい事業ビジョン(To Be)を明確にする
  • 戦略策定:現状把握、業務範囲策定、社内体制整備、スケジュール策定を行う
  • 投資額算出:戦略実行に必要なシステム導入費・システム運用費・人件費、売上を作るために必要な売上原価を算出する
  • 売上試算:新規事業創出による売上予測を元に試算する
  • 費用対効果算出:計算方法にしたがって費用対効果を算出する

費用対効果の算出には、以下の式を使うとよいでしょう。

費用対効果(ROI)= (売上 – 投資額)÷ 投資額 × 100(%)

DXで削減できるコスト:売上原価、販売費及び一般管理費

DXにより、材料費や労務費などの「売上原価」、宣伝広告費や賃料などの「販売費及び一般管理費」が削減できるでしょう。

コスト削減により、利益率が改善するだけでなく、余った資金を更なる業績改善施策に充てられるようになります。

福利厚生の充実による離職率の低下や、新規事業の創出による売上拡大など、ビジネスを加速させる大きなきっかけを作れるでしょう。

費用対効果を算出する際も、削減コストを考慮した投資額の算出をすることで、DXの効果を正確に見積もれます。

DXに活用できる補助金

DXに活用できる補助金はこちらです。

多額の推進コストを軽減するためにも、ぜひ活用を検討しましょう。

種類詳細
ものづくり補助金中小企業・小規模事業者等が直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組むサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するための補助金
IT導入補助金様々な経営課題を解決するためのITツール導入を支援するための補助金
事業再構築補助金新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編等の事業再構築に意欲的な中小企業等の挑戦を支援するための補助金

DXに使える補助金について更に詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

関連記事:DX化で使える補助金とメリット・デメリット・申請手順を解説 

まとめ

DXを推進するには多くて数億円のコストがかかります。

費用対効果を正確に把握した上で推進をしないと、大きな損失を生んでしまう可能性が高いでしょう。

ただ目の前の業務を効率化・自動化するためでなく、ビジネスモデル全体を改善するために、どのような問題を解決する必要があるかを明確にすることが大切です。

具体的には、DXにおける「ビジョン」や「戦略」の質を高めると良いでしょう。

もし、質の高いDXの推進に自信がない場合は、ぜひ弊社のコンサルティングサービスの利用をご検討ください。

豊富な実績があるため、過去の事例を元に費用対効果の算出等のサポートをいたします。

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