DX
AIはDX推進のための手段|DX推進のメリットや手順を紹介
AIとDXは混同されがちですが、これらの2つは明確に違いがあります。AIはDX推進のための手段の1つです。
本記事ではDXとAI、それぞれの違いや関係性を解説したうえで、DX推進においてAIを活用するメリットや手順を解説します。
DXとAIについて、適切に把握したうえで、自社のどのような部分に活用できるかを検討してください。
DXとAIの関係性|DXの手段の1つとしてAIが存在
AIはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する手段の1つです。
AIを有効に活用することで、今までは実現できなかった新しい試みを実現できます。
しかし、AIを活用することで必ずしもDX化が進むわけではありません。
DXを推進するためにはAIだけではなく、さまざまな技術を活用する必要があります。
たとえば経理などで使われるOCRの技術は、AIによるディープラーニングによって効率化が進んでいますが、元となる技術がなければ革新は進みませんでした。
既存の技術と掛け合わせることで、AIは企業活動の中に取り入れられるのです。
DXとは「デジタル技術を活用して組織や業務を変革すること」
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で「デジタル技術を活用して組織や業務を変革すること」を指します。
経済産業省が公開した「デジタルガバナンス・コード2.0」では以下のように定義されています。
”企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”
出典:『デジタルガバナンス・コード2.0』経済産業省2022年9月
単にデジタル技術を活用するだけでなく、企業組織や業務を変革することがDX化において重要なポイントです。
AIは人と同じように高度で的確な思考ができるよう目指す技術
AIは「アーティフィシャル・インテリジェンス」の略で、日本語では「人工知能」のことを指します。
AIは人や組織によって定義がバラバラです。
現在のビジネスにおいては機械学習を用いたシステムやソフトウェアなどの、人間と同じように高度で的確な思考ができるように目指している情報処理システムや技術のことをAIと呼びます。
DXとAIの違い:DXはデジタル技術を活用した変革 | AIはその一部
DXとAIはよく混同されることがありますが、DXはデジタル技術を活用した変革そのものを指し、AIはDXを実現するための手段の1つとして考えるのが適切です。
DXを推進するには、IoTやクラウドなど、AI以外のさまざまな技術を活用する必要があります。
また、AIと一言で言ってもいくつかの種類があり、機械学習AIや生成AIなどがあります。
AIはDX化を推進するための重要な要素の1つですが、あくまでもDX化のための手段の1つであり、他の技術と組み合わせて活用することでDX化を推進できるでしょう。
DX推進にAIを活用するメリット
DX推進にAIを活用するメリットは下記の3つです。
- 業務の効率化
- 業務の高度化
- 新しい付加価値の創出
AIを活用することで業務の効率化や高度化、新しい付加価値の創出が大きなメリットです。
しかし、AIの技術水準は分野によってばらつきがあるため、AIを活用する分野によっては注意が必要です。
業務の効率化
DX推進において、AIを活用することのメリットとして、業務の効率化は大きなポイントです。
これまで人間が手作業でおこなってきた作業をAIに任せることで、省力化や業務時間の短縮が図れます。
技術の高度化により、膨大な量のデータの取得・蓄積が可能になりました。
AIは膨大な量のデータを認識・分析が可能です。
また、定形業務を自動化できるRPAや、複数の業務を統合して管理できるERPを導入することも業務の効率化につながります。
このようにAIを活用することで、これらの膨大な量のデータを素早く処理・分析し、業務を効率化してビジネスに展開できます。
業務の高度化
DX推進にAIを活用することで業務の高度化が図れます。
AIは人間では処理できない緻密なデータや膨大なデータの処理が可能です。
製品の検品やデータの分析などは、人間の手作業ではどうしてもミスが発生する場合があります。
しかし、AIを活用することで、ミスなく高い水準でおこなえます。
新しい付加価値の創出
AIを活用することで、新しい付加価値を創出できる可能性があります。
付加価値を創出することで、自社のビジネスを発展させ、競合他社との優位性が獲得できたり、新規企業が参入しにくい状況を作り出せたりします。
DX推進にAIを取り入れる手順
DX推進にAIを取り入れる際は下記の手順でおこないます。
- データ収集
- RFP・RFIの作成
- アルゴリズム開発
- 機械学習・テスト
- 本稼働
これらの手順はDX推進を成功させるうえで重要な要素です。
適切な手順でポイントを押さえて実行する必要があります。
※実際に導入をされる際は、要件を決め、何をするかを明確にしてから進める必要があります。何から始めればいいかわからないとお困りの方は、ぜひ一度弊社までご相談ください。
データ収集
AIは過去のデータを取り込み、機械学習によって答えを出します。
そのため、まずはAIに学習させるためのデータを用意する必要があります。
AIが活用できる範囲はデータがある範囲に限られるため、より精度が高く、多くのデータ
を取り込むことが重要です。
自社にすでにデータがある場合は、データを整理し、汎用性のあるデータとして活用します。
自社にデータがない場合はまずはデータを蓄積させる必要があるため、時間がかかります。
RFP・RFIの作成
AIを開発するITベンダーを選定するにあたり、RFPやRFIを作成します。
RFIは「情報提供依頼書」と呼ばれ、ベンダーに対して企業や商品基本情報の提示を求めるための書類です。
一方で、RFPは「提案依頼書」と呼ばれ、ベンダーに具体的な提案を依頼する書類です。
RFP・RFIを作成する過程で目標やゴール、要件を明確にでき、ベンダーにも適切な情報を伝えられるため、メンバーやベンダーとの間で齟齬がなくなります。
アルゴリズム開発
機械学習アルゴリズムを用いてプログラムを作成します。
機械学習アルゴリズムにはさまざまな種類があるため、目的に応じて適切なものを選ぶ必要があります。
既存のシステムを導入する場合はアルゴリズム開発は不要です。
ベンダーを選定する際は導入目的に合わせて適切なベンダーを選定するようにしましょう。
機械学習・テスト
次にAIに機械学習をさせ、テストをおこないます。
AIにデータを与えて徐々に学習させていきます。
AIに学習させる際は多くのリソースと時間がかかることを把握しておきましょう。
学習が完了したらAIの精度をテストします。
AIの精度が100%になることはありません。
精度が不十分だった場合、できるだけ高い精度になるように、アルゴリズムや学習の調整やテストを何度もおこなうことが重要です。
本稼働
テストが完了し、AIの精度が十分であると判断したら、実務で活用していきます。
実務で活用する際は想定していなかったエラーが起きる場合があります。
また、使用環境によってもAIの性能が変化する場合もあるため、実務で活用する際は1つのチームや1つの部署から活用をスタートするなどして、スモールスタートで始めていくのがおすすめです。
スモールスタートで動作や精度などをチェックし、問題なく稼働できると判断した場合には徐々にAIの稼働範囲を広げていきましょう。
まとめ
本記事ではAIとDXの違いや関係性、DX推進のメリットや手順を紹介しました。
AIを活用してDX推進をするためには、AIを活用するメリットを正しく理解することが重要です。
DX推進のための手順とポイントを押さえて、自社でのDX推進を検討してみてください。